導入効果
- 150万件の会員からのアクセスにも耐え得る安定したシステム基盤を獲得
- オンプレミスとAWSのハイブリッド環境で社内とお客さま環境の分離に成功
- CI/CD環境の導入により、アプリケーションの短期リリースも実現
導入背景
1951年設立の四国電力株式会社は高松市に本店を置き、主として四国4県における発電事業および電力小売事業を担う電力会社として地域社会の発展を支えている。現在、電力小売契約数は240万件を超え、その中で利用を希望するお客さま向けに、会員制Webサービス「よんでんコンシェルジュ」を提供している。同サービスでは、電気料金や電気使用量の確認、ポイントサービスなど多彩な機能を展開している。
同社は2021年、レガシー化したオンプレミス環境からの脱却を図り、柔軟なスケーリングや短期リリースを可能とする「よんでんコンシェルジュ」のシステム環境を構築するために、アマゾン ウェブ サービス(AWS)への移行を決定した。その際に移行プロジェクトを要件定義から支援するITベンダーとして選定したのが、TOKAIコミュニケーションズである。本プロジェクトにおいて、同社はクラウドシフトによるアーキテクチャのモダナイゼーションとオンプレミスとAWSを組み合わせたハイブリッド環境を実現し、安定運用とアプリケーションの短期リリースを両立させた。
情報システム部
基盤開発・最適化グループリーダー
濵上 輝之氏
情報システム部
基盤開発・最適化グループ 副リーダー
葛原 晋弘氏
情報システム部
基盤開発・最適化グループ
阿部 淳也氏
課題
レガシー化した三層システムと増大する運用負荷からの脱却
四国電力株式会社の会員制Webサービス「よんでんコンシェルジュ」を支えるシステムには、大きく3つの課題が顕在化していた。この点について、情報システム部 基盤開発・最適化グループの阿部淳也氏は、当時の状況を次のように振り返る。
「1つ目は、オンプレミス環境の三層構造システムによりアーキテクチャがレガシー化していたことです。2つ目は、会員数の増加に伴って処理負荷が増大し、インフラの維持管理コストが膨らんでいたことです。そして3つ目が、ソースコードの複雑化やテスト工数の増大により、システムのリリースサイクルが長期化していたことです。これらの課題が重なり、例えば毎日2回参加できる『すごろくゲーム』では、その開始時刻にアクセスが集中し、システム全体の負荷が高まることで、お客さまにご不便をおかけする事象が発生していました」(阿部氏)
同システムでは年に数回の性能障害が発生しており、その都度データベースサーバーのメモリ増強やアプリケーションのチューニング作業が必要になっていた。そこで同社は2021年、「よんでんコンシェルジュ」のシステム基盤をAWSに移行するプロジェクトを立ち上げた。
「最終的には約150万件の会員数を想定していました。そのため、信頼性の高いシステム基盤が必要でした。AWSを選択した理由は、大規模システムを構築できること、多様なサービスが提供されていること、導入実績が豊富であること、そしてノウハウを持つITベンダーが多いことです。会社として社内システムをAWS上で稼働させるのは、今回が初めてでした」(阿部氏)
選定ポイント
ITベンダー選定の決め手は運用ルール理解と真摯な対応
今回のプロジェクトにおいて同社がTOKAIコミュニケーションズをITベンダーとして選定した背景には、「インフラ領域に強いベンダー」としてAWSからの紹介を受けたことがあった。情報システム部 基盤開発・最適化グループ 副リーダーの葛原晋弘氏は、当時を次のように振り返る。
「『よんでんコンシェルジュ』を再構築するにあたって関係会社とも議論を重ねる中で、インフラ構築を支援してもらえるITベンダーを探していました。その際にAWSから紹介いただいたのが、TOKAIコミュニケーションズでした」(葛原氏)
これまで同社では、よんでんグループの情報通信子会社が開発から運用までを担ってきた。しかし、今回はAWSという新たな環境での構築となるため、インフラ運用は引き続き情報通信子会社が担当し、インフラ構築についてはAWSに関する知見と実績を持つITベンダーの支援を受ける体制とした。TOKAIコミュニケーションズ選定の決め手となったのは、オンプレミスとAWSというハイブリッド環境への対応力、構築後の運用まで含めたワンストップでのサービス提供、そして自社運用ルールへの理解と真摯な対応である。
「お客さまのデータを扱う業務システムの多くはオンプレミス上に構築しています。今回は柔軟性や可用性を重視してAWSを採用しましたが、他システムと密に連係するデータベースはオンプレミスに残しています。そのため、ハイブリッド環境の構築ノウハウと、運用フェーズでの支援体制が重要でした」(阿部氏)
さらに同社が重要視したのが、自社のIT全般統制にのっとった運用ルールに対する理解である。
「当社では、特権ID管理などIT全般統制に基づく運用を徹底しています。TOKAIコミュニケーションズは、こうしたルールをAWS環境でも適切に反映した設計ができるITベンダーでした」(阿部氏)
また、情報システム部 基盤開発・最適化グループリーダーの濵上輝之氏も、プロジェクトマネジメントの観点から高く評価する。
「AWS上での開発も、TOKAIコミュニケーションズへのインフラ構築依頼も今回が初めてでした。そのため、認識の齟齬が生じないよう、密なコミュニケーションが不可欠でした。毎週の定例会議で丁寧に対応いただき、安心してプロジェクトを進めることができました」(濵上氏)
導入効果
モダナイゼーションを実現しCI/CD環境も構築
同社インフラのAWSマイグレーションは、2025年1月に完了した。単なるクラウドリフトではなく、アーキテクチャのモダナイゼーションを伴うクラウドシフトを採用することで、柔軟性・拡張性・可用性の高いインフラを実現している。
さらに今回、アプリケーション開発を対象にCI(Continuous Integration)/CD(Continuous Delivery / Deployment)環境を導入した。CI/CD環境は、ソースコードの変更からテスト・リリースまでを自動化し、IT全般統制に基づいた承認ワークフローを経て本番反映を行う仕組みである。
「従来は、軽微な機能追加でもリリースまでに数か月かかることがありました。アプリケーションを迅速に提供できる体制を整えることが、今回の重要なテーマでした」(阿部氏)
CI/CD環境の構築にあたっては、Amazonが提供するコンテナ環境「Amazon ECS(Elastic Container Service)」とCI/CDサービス「AWS CodePipeline」を採用した。Amazon ECSは、コンテナ(Dockerなど)を効率的にデプロイ・管理・運用するためのフルマネージドなサービスであり、AWS CodePipelineはソフトウェアのビルド、テスト、デプロイを自動化する継続的インテグレーション・継続的デリバリー(CI/CD)サービスである。これらのサービスの導入により、IT全般統制の要件を満たしつつ、継続的なデリバリーを実現する環境を整えた。
今後の展望
安定した運用を実現、今後の協業拡大にも大きな期待
AWSマイグレーションにより、四国電力はオンプレミスとAWSを組み合わせたハイブリッド環境を構築し、CI/CD環境も導入した。その効果について、阿部氏は次のように語る。
「『すごろくゲーム』開始時のアクセス集中による性能問題は解消されました。長年の課題の1つを解決できたと感じています」(阿部氏)
また葛原氏も安定運用の効果を実感している。
「インフラ起因の大きなトラブルは発生していません。メモリ増強やアプリケーションのチューニングといった作業も、現在は目立って発生していません」(葛原氏)
さらに、ハイブリッド環境の利点について次のように述べる。
「お客さま向けのワークロードをAWS側にオフロードすることができるため、オンプレミス環境への影響を最小限に抑えられています。処理特性に応じた分散配置は、大きなメリットです」(葛原氏)
「TOKAIコミュニケーションズには、要件定義から構築、運用まで一貫して高い技術力で支援いただきました。今後も継続的なパートナーシップを期待しています」(濵上氏)
- 本導入事例の内容は制作時(2026年2月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。
- その他記載されている会社名、製品名、サービス名、ロゴ等は各社の商標または登録商標です。
Company Profile
四国電力株式会社
- 設立
- 1951年5月1日
- 所在地
- 香川県高松市
- 事業内容
- 発電事業、電力小売事業、国際事業
- URL
- https://www.yonden.co.jp/
