導入効果
- サーバ「保有」からクラウド「利用」への転換による資産圧縮とコスト最適化
- ユーザ視点に立った多様な提案力と迅速な対応による信頼感
- 環境構築以外にアプリケーション領域でのサポートにも期待
導入背景
サーバの減価償却が終了するタイミングでAWSを採用。オンプレミス環境で稼働していた財務会計システムのAWS移行を計画
1896年に京都府何鹿郡(現綾部市)の蚕糸業振興を目的として設立されたグンゼ株式会社。現在は、プラスチックフィルムやエンジニアリングプラスチックスを製造・販売する機能ソリューション事業、インナーウエアやレッグウエアを製造・販売するアパレル事業、スポーツクラブや商業施設の運営などを行うライフクリエイト事業の3本の柱に加え、直近ではメディカル分野を成長エンジンとして展開している。2019年12月には、プラスチックフィルム包装材料を製造販売している事業会社としての社会的責任を果たすため「プラスチック資源循環基本方針」を制定し、プラスチック資源が循環する社会の実現を目指した活動に注力している。
これまで同社は、基幹システムのひとつである財務会計システムを自社のオンプレミス環境で稼働させていたが、サーバの減価償却が終了するタイミングでアマゾン ウェブ サービス(AWS)に移行することを計画。AWS上の環境構築を支援するパートナーとして複数の候補の中から選択したのが、TOKAIコミュニケーションズだ。
課題
オンプレで稼働するシステムのAWS移行を計画
グンゼ株式会社では、2014年に構築した財務会計システム基盤の減価償却と保守サポートが終了する2019年9月をターゲットとして、2018年11月から次期システム基盤の検討に入った。当時の状況について、プロジェクトマネジャーを努めた財務経理部 経理統括室の南大介氏は、次のように説明する。
「次期システム基盤は、クラウド環境に移行したいと考えていました。オンプレミス環境での運用では、サーバ(固定資産)の償却が終了する5年ごとに更新が必要となり、その都度多大な負荷が生じてしまいます。また、改定コーポレートガバナンスコードで求められている資本コストを重視した事業経営に対応すべく、IT基盤も所有から利用へと転換し、資産のスリム化を考える必要がありました」(南氏)。
南氏はクラウド環境の優位性を明確にするために、従来のオンプレミス環境の更新とクラウド移行の比較検討を行うことにした。その際に以前AWSのクラウド環境を採用してグループウェアの導入を主導した同社のITを統括する経営戦略部 IT戦略室に協力を求めた。この点について、同室の舟津崇晃氏は、次のように説明する。
「我々は2017年にAWSの優位性を見極め、グループウェアを導入しました。全社員が利用する仕組みであり、レスポンス性と強固なセキュリティを確保するために同じタイミングでAWS環境との専用線に相当するAWS Direct Connectも導入しました。そのため、業務システムをAWSに移管する基盤は既に整備できており、南から相談を受けた際も、業務システムとしては初めてのAWS利用になるが、問題なく移管・利用できるであろうと判断しました」(舟津氏)。
解決策
コスト削減や運用負荷軽減の観点からAWSの採用を決定
コスト面、運用負荷面での比較に加えIT戦略室の後押しもあり、次期基盤はオンプレミスよりもクラウド(AWS)が適していると判断した南氏。
「私の所属する経理部門には定期的に異動があります。私はSEの経験もありますので現状基盤の運用でも問題はありませんが、SE経験のない方が担当になってもある程度対処できるような基盤に変更しておきたいと考えました。例えばクラウド基盤であれば、ディスクの容量不足に対して必要量だけを任意のタイミングで柔軟に追加することができます。また内部統制の観点からも重要となるバックアップの取得・管理も容易です」(南氏)。
さらに南氏は、「クラウドなら外部要因にも柔軟に対応できる」と続ける。
「今回の更新にあたっては、2020年1月にサポート終了となるサーバOS(Windows Server 2008)の対応も考慮する必要がありました。安心して利用できる環境の維持にはハードウェアとソフトウェアの両面のライフサイクルを考慮する必要がありますが、クラウド環境ならばそれぞれのライフサイクルに合わせて任意のタイミングで柔軟に対応できる点は管理面、コスト最適化の面においても有利です」(南氏)。
また、舟津氏は、新たな機能を追加したい時にも、クラウドには大きなメリットがあると強調する。
「様々な業務システムを運用していく中で、利用部門からは機能追加の要望が随時発生します。オンプレミスの場合、要望に対応するためには新しい仕組みやサービスを自分達で作り込まなければなりません。クラウドには豊富な機能が標準で準備されており、利用したい機能を選択することで容易に構築できます。この点もクラウドを利用する大きなメリットと考えています」(舟津氏)。
こうしてAWSの採用を決定した同社は、その移行プロジェクトを支援してもらうITパートナーの選定に入った。
選定ポイント
TOKAIコミュニケーションズの迅速な対応と提案力を評価
同社は協力を仰ぐITパートナーの候補として、IT戦略室がAWS関連業務で取引実績のあるTOKAIコミュニケーションズを含む2社を選出し、各々から提案を受けた。その結果、ITパートナーとして選択したのがTOKAIコミュニケーションズであった。その理由について、南氏は次のように説明する。
「TOKAIコミュニケーションズは、質問に対するレスポンスが非常に速く、かつAWSの知見が乏しい私でも理解できるように資料が工夫されておりました。また実現が難しい要望に対しては複数の代替案を提示いただけました。これらの対応は未知であったAWSへの取り組みに対して大きな信頼感と安心感を得ることができました」(南氏)。
そうしたやり取りの中で特に助けられたのが「最初から我々の利用ケースを想定した上で、複数の見積書を提示していただけた点」(南氏)だという。
「通常ITベンダーから提示される見積書は1通のみで、我々が提示した要件に適さない『前提条件や例外事項』は備考欄等に詳細に記載されます。ITリテラシーを有する者でないと見積範囲を正しく捉えることが難しいです。しかしながらTOKAIコミュニケーションズからは我々が提示した条件やヒアリングを通じて当社目線での運用の切り口より、想定されるクラウド利用料が試算された3パターンの見積書を提示いただけました。提案も付与されており、実施に向けた上層部への答申の際に非常に役立ちました。また、打合せの際には営業担当者と技術担当者の方が同席していただけるため、契約面と技術面の疑問点を同時に確認することができました。その場で解決できる事項が多く、効率的に進めることができました」(南氏)。
これらの交渉を支援してきた舟津氏も「今回の財務会計システムのクラウド移行プロジェクトのパートナーはTOKAIコミュニケーションズが適していると確信しました」と続ける。
「今回の移行対象は当社の業務システムの中でも重要性が高い財務会計システムです。絶対に失敗することができません。TOKAIコミュニケーションズは説明が明瞭で、提示された資料も非常に分かりやすかったです。この会社なら、安心して我々のプロジェクトを任せられると感じました」(舟津氏)。
今後の展望
アプリケーション領域での支援にも期待
AWSへの移行プロジェクトは2019年4月に始まり、9月中旬にカットオーバーを迎えた。
「移行したのは財務会計システムと連結決算システムの2つで、TOKAIコミュニケーションズには、これらのシステムを稼働させる環境の構築と監視やバックアップなどの日常運用業務を支援するツールの構築・提供を支援いただきました。また稼働後の運用代行契約も締結しています。大きな問題もなく順調に稼働しています」(南氏)。
また同社は冒頭で紹介した「プラスチック資源循環基本方針」に係る取り組みの一環として、プラスチックフィルム生産工場のライン設備にIoTセンサを取り付けて稼働データを収集し、分析する新たなシステムをAWS上に構築することを目指している。工場設備の稼働状況を可視化して、安定した生産に繋げていくための取り組みであり、これを実現するパートナーにもTOKAIコミュニケーションズを選択した。
「財務会計システムの移行プロジェクトの成果もあり、TOKAIコミュニケーションズのインフラ基盤構築に対する強みは充分に把握しております。このプロジェクトを契機に、我々とのパートナーシップの領域をインフラだけでなく、アプリケーションにも拡大していただき、より広範囲を支援できるパートナーとなっていただけることを強く期待しています」(舟津氏)。
- ※ 本導入事例の内容は制作時(2020年3月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。
Company Profile
グンゼ株式会社
- 設立
- 1896年8月
- 本社所在地
- 大阪府大阪市北区
- 事業内容
- 機能ソリューション事業、アパレル事業、ライフクリエイト事業
- URL
- https://www.gunze.co.jp/