導入効果
- AWS Lambdaの導入でアプリケーション開発の短納期化を実現
- サーバー運用負荷を軽減し、アクセス数の急増にも対応したスケーラブルな構成を構築
- ビジネスニーズに応じた課金体系でコストメリットの最適化を実現
導入背景
2007年4月設立のUTグループ株式会社は、製造現場などへの無期雇用派遣事業を展開しており、近年では製造派遣業界を牽引する成長率を実現している。“はたらく人の立場”に立ち、安定した雇用を確保する無期雇用、必要なスキルの習得を支援する技能教育、キャリアパートナーによるキャリアコンサルティング、グループ内転職制度(One UT)や派遣先企業への転籍支援制度(Next UT)といった多様なキャリアパスなど、はたらく人の安心・つながり・成長を支援する取り組みを推進。UTグループは雇用や職業訓練の場となる“キャリアプラットフォーム”の創造を通じて、はたらく人と企業が共に成長できる持続的な社会の実現を目指している。同社は、技術職社員向け適性検査アプリケーションの機能強化を目的として、システム基盤にアマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用、サーバーレスコンピューティングサービスとしてAWS Lambdaを始めとする様々なサービスを導入した。このプロジェクトを支援したのが、TOKAIコミュニケーションズだ。
課題
適性検査アプリの機能強化と社員の利便性向上を目指して
UTグループ株式会社には、通常の人事部門とは別に雇用した技術職社員のキャリア形成を支援するキャリア開発部門が設置されている。その取り組みについて、キャリア開発部門 フューチャークエストユニット 統括部長の黒田美樹氏は、次のように説明する。
「私たちは製造現場へ派遣する技術職の方のキャリアアップや技能向上をサポートしていますが、経験を積み重ねていく過程で自分の志向や適性に気付き、一般職(総合職のUT社内名称)社員への進路変更を希望する人も出てきます。そうした方に対して、私たちはエントリー制度という仕組みを提供し、進路変更の参考にしています。具体的には年に1回応募を受け付けて適性検査を受けてもらい、情報の読解力や指示・依頼の理解力、会話力などのスキルをアセスメントしています」(黒田氏)
これまで同社は、自社開発した適性検査用のアプリケーションをAmazon EC2上で稼働させていたが、当時はモバイル端末向けで、回答した後の集計や分析はExcelを利用し手作業で行っていた。
「エントリー制度は以前からありましたが、モバイルアプリでの適性検査を始めたのは2019年からです。技術職社員は約3万人いて、当初は年間120~130名の応募だったのですが、その後約300名にまで増えてきていました。規模が拡大してくると、以前のような手作業での集計や分析は時間がかかりますし、正確性の観点からも不安が残ります。またスマートフォンからだけでなく、PCからも適性検査を受けられるようにして利便性も高めたいと考えました。そこで従来の適性検査アプリケーションの機能を強化し、回答受付後の集計や分析機能を実装して自動化するとともに、スマートフォンだけでなくPCにも対応したWebアプリケーションに構築し直すことを決めました」(黒田氏)
解決策
要件を全て満たすITパートナーを探して
同社では、以前より社内の各種システムをAmazon EC2に実装しており、ドキュメント管理やアンケートなど情報管理系の機能はSaaSを活用していた。大規模な初期投資をすることなく、改訂版となる適性検査アプリケーションの構築を行いたいという構想がありAWSの採用を決定した。機能強化を図る適性検査アプリケーションに求めた要件として、黒田氏はコストがリーズナブルであることに加え、4つの項目を挙げる。
「第一に“適性検査の品質を確保できるシステムであること”です。取り扱う情報が非常にセンシティブなため、採点間違いをしないことはもちろん、回答中のシステムダウンを回避できること、また、検査精度を担保するためには回答時間の制御も必要となります。第二に“アクセスの急増にも対応できること”です。適性検査は毎年1月に1か月の期間を設けて実施するのですが、締め切り直前にエントリーが集中することが多々あります。そのため、アクセス急増に対応できることも非常に重要な要件となります。第三は“検査を受ける人が便利に使えるシステムであること”です。多様なデバイスから利用できることに加え、分かりやすい画面遷移を提供することが必要となります。そして第四が“私たちの求める時期にリリースできること”です。今回の仕組みはカットオーバーの期日を厳守することも必須でした。こうした4つの要件全てを満たす提案をしてくれたITパートナーが、TOKAIコミュニケーションズでした」(黒田氏)
導入効果
サーバーレスのサービスを採用 コスト低減と運用負荷の軽減を実現
UTグループの4つの要件を受けたTOKAIコミュニケーションズは、適性検査アプリケーションの基盤として、機能単位でデプロイを行うことができるサーバーレスコンピューティングサービスのAWS Lambdaと、関連するその他AWSのサービスを組み合わせたものを提案した。AWS Lambdaを利用すれば、コードを動作させるためにサーバーを用意する必要がなく、サーバーコストの低減に加え、サーバー構築や運用保守の手間からも解放される。またスケーラブルな構成により受検者数の急増にも柔軟に対応することができ、さらに利用コストの観点でも、コードを実行した時間と回数によって課金される料金体系となっているので、非常に効率的だ。季節変動性の大きい適性検査アプリケーションには最適な仕組みだと言える。こうしてUTグループが導入を決定したのが、TOKAIコミュニケーションズの提供するAWSサーバーレスアプリケーション開発サポートだ。ITパートナーの選定にあたり、同社は複数のITベンダーに声をかけたというが、最終的にTOKAIコミュニケーションズを選択した理由について、キャリア開発部門 フューチャークエストユニット 担当部長の岡田正道氏は、次のように説明する。
「TOKAIコミュニケーションズとは、今回のシステム以前からお付き合いがあり、ビジネス内容はもちろん我々が何をしたいかをよく理解していたと思います。提案の的確さだけではなく、一をお伝えすれば二や三にして理解してくれるコミュニケーション能力の高さも、私たちがTOKAIコミュニケーションズに信頼を寄せる非常に大きなポイントです」(岡田氏)
また黒田氏も、システムの信頼性はプロジェクト前の商談から推し測れるものだと強調する。
「厳密に言えばシステムはできあがったものを触ってみなければ評価することはできません。しかし、TOKAIコミュニケーションズの豊富な経験に基づいた知見や技術力の高さは打ち合わせの段階で感じていました。こちらが検討している開発プランに対し、安易な回答ではなく経験に基づいた最適解を与えてくれます。こうした点から、TOKAIコミュニケーションズに開発支援を依頼したシステムは十分信頼に足るものだろうと確信していました」(黒田氏)
今後の展望
未来志向の提案力を高く評価 今後も心強いサポートに期待
新しい適性検査アプリケーションは、稼働開始からこれまでにシステムが停止したことは一度もないという。
「現時点でのコスト対効果は明確には出しにくいですが、“将来コスト”は低減できたと考えています。私たちのエントリー制度は、適性検査を受け、その結果一般職(総合職のUT社内名称)社員になれなくても、翌年チャレンジできる制度です。そのため、設問パターンを複数用意したりランダムに表出したりといった仕組みが必要ですが、今回そうした未来要件まで伝え、必要なタイミングでリリースできる設計にしてもらっています」(黒田氏)
この点に関連して、今回のプロジェクトでリーダーを務めたキャリア開発部門 フューチャークエストユニットの水野智美氏は「TOKAIコミュニケーションズは私たちが本当にやりたいと思っているところまで汲み取り、未来のことも考えて設計していただいた」と強調する。
「例えば、毎年の応募人数の数値に対して将来予測される伸長率、その予想数値を考慮した対応策の提案、設計をしてくださるのです。決してコードの世界だけではなく、ユーザ目線に立ってより良いものを作るという姿勢を強く感じました」(水野氏)
今後同社は、技術職社員のキャリア開発のための人事情報と、人事部門が管理する人事情報とを統合して一元管理していくことも考えているという。
「TOKAIコミュニケーションズは、これまでお付き合いしてきたITパートナー様の中でも、技術力と対応力、さらには信頼感、安心感という面において、間違いなくトップクラスに入る企業です。これからも心強いサポートを期待しています」(黒田氏)
- ※ 本導入事例の内容は制作時(2023年5月)のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。
- ※ 記載されている会社名、製品名、サービス名、ロゴ等は各社の商標または登録商標です。
Company Profile
UTグループ株式会社
- 設立
- 2007年4月
- 所在地
- 東京都品川区
- 事業内容
- 製造・設計・開発・建設分野等の無期雇用派遣事業
- URL
- https://www.ut-g.co.jp/