ビッグデータという言葉がトレンドになるなど、近年データ分析に注目が集まっています。データ分析を効率よく行うためには、データ分析基盤の構築が欠かせません。しかし、データ分析に興味を持っていても、データ分析基盤については詳しく知らない方も多いと思います。今回の記事では、データ分析基盤の概要と、その必要性について解説していきます。
目次
データ分析とは? なぜデータ分析が重要なのか
まず、なぜデータ分析が重要視されているのか、という点について解説していきます。
データ分析とは
そもそもデータ分析とは、膨大なデータの中から特定の目的に基づいて情報を収集・分析することを指します。近年では、ビジネス上の意思決定の参考にする目的で、多くの企業がデータ分析を取り入れています。
多くの企業で進むデータ活用
では、実際にどれくらいの企業がデータ分析を活用しているのでしょうか。ここからは、総務省が発表している「情報通信白書」を引用し、日本企業のデータ活用の現状、データ活用の効果についてご紹介します。
データ活用の現状
近年のデータ流通量の増加に伴い、日本でもさまざまな分野でデータ活用が進んでいます。総務省が2020年に実施した『デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究』によれば、大企業の約9割、中小企業の5割強が、何らかの分野で分析したデータを活用しています。
上記の図は、データ種別の利用割合を示したものです。まず目につくのは、電子メール、アクセスログ、顧客データといった領域のデータ利用が進んでいるという点です。特に大企業の間では幅広い分野で普及し始めていることがわかります。
データ活用の効果
また、先ほどの調査研究によると、データ活用を実施している企業のおよそ6割が「少なからず効果があった」と回答しています。以下の図は、データ活用による効果を業務領域別に表したものです。この図を見ると、業務領域による違いは少なく、どの領域においても一定の割合で効果が得られていることがわかります。
具体的な効果として、業務効率の向上・意思決定の向上・マーケティング力の向上を感じている企業の割合が多くなっています。これらの調査結果を見ても、ビジネスにおいてデータ活用が重要な役割を持っていることは間違いないでしょう。
データ分析基盤とは
ここまでは、データ分析の概要と基礎知識を説明しました。ここからは、データ分析の要となる、データ分析基盤について解説していきます。
データ分析基盤とは
データ分析基盤は、データの収集・加工などを行い、それらを活用するシステムを指します。データ分析基盤が持つ機能は、大きくデータ収集・蓄積・加工の3つに分けられます。
AWSでデータ分析を行うには、「Amazon Athena」や「Amazon QuickSight」などに代表されるETLツールやBIツールを利用します。
データ分析基盤を構築するメリット
データ分析基盤は、データ分析を行ううえで極めて重要なシステムです。ここからは、データ分析基盤を構築するメリットを紹介します。
効率よくデータ分析ができる
1つ目のメリットは、データ収集から分析までを一気通貫で実行できるため、効率よくデータを分析できる点です。データ分析基盤を用いずにデータを分析しようとすると、データの収集・抽出・分析それぞれのフェーズで別のツールを使うことになり、手間がかかるうえに、手作業によるミスも発生しやすくなります。特に、Excelなどでは処理が難しい、大量のデータ分析を行う際に、データ分析基盤が重宝します。
一元管理による効率的な運用管理
2つ目のメリットは、データの一元管理ができる点です。分析に用いるデータを全て、データ分析基盤で管理すれば「最新のデータがわからない、そもそもどこにデータがあるのか見つけられない」といった、データを探す手間と時間を削減できるため、効率的に運用管理ができます。
属人化の解消
3つ目のメリットは、属人化の解消ができる点です。データ分析は専門的な知識が必要なため、属人化しやすい領域です。しかしデータ分析を全て同じシステム上で行えば、データ分析基盤に関するシステムの知識は求められるものの、分析の手法などの属人化を防ぐことができます。
データ分析基盤を構成する要素とは
データ分析基盤は、処理ステップごとにデータレイク・データウェアハウス・データマートという3つのレイヤーに分かれています。3つのレイヤーに分かれている理由は、パフォーマンスを最大化して処理スピードを高速化し、システムの変更や機能改修などを柔軟に行いやすくするためです。レイヤー別に処理を行うことで、大量のデータを用いたデータ分析もスムーズに行えます。
ここからは、それぞれのレイヤーが持つ役割について解説していきます。
データレイク
レイクとは、英語で「湖」という意味です。データレイクとはその名の通り、データを蓄える湖、つまり加工されていないデータを保管する場所を指します。さまざまな形式のデータを保管でき、分析の際に元データが必要になった際の取得元、という役割を担います。データ分析を行う際は、まず分析に必要なデータを全てデータレイクに保存し、全てのデータがデータレイクに収集されるようにします。
データウェアハウス
ウェアハウスは英語で「倉庫」という意味を指す通り、データウェアハウスとは、データを整列された状態で保管する場所を指します。データレイクに保存されたデータは、整理されていない状態です。そのため、分析のため抽出・加工処理を行う前段階として、データを整理する必要があります。データウェアハウスでは、各データに管理番号などが振られ、任意のデータが取り出しやすくなるという特長があります。
データマート
マートとは、英語で「市場、販売店」という意味です。つまりデータマートとは、食品を加工して作られた缶詰がスーパーマーケットにたくさん並ぶように、特定の目的に基づいて抽出・加工されたデータを保管する場所を指します。
データウェアハウスのデータから必要なものを分析しやすいかたちに抽出・加工を行い(たとえば、データウェアハウスに格納されている全社売上データから、関東エリアの売上データを抽出する)、データマートに保管します。
保管したデータは、数値の羅列にすぎず、意思決定の判断材料として利用しにくいです。そのため次のステップとして、グラフやチャートを用いてデータの可視化を行います。
なお、AWSで実現するデータ分析ついて詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
AWS活用法 | AWSで実現するデータ分析|AWSのBIツール「Amazon QuickSight」とは?
AWS活用法 | AWSで実現するデータ分析|AWSが提供しているデータレイク・データウェアハウスツールの活用法
まとめ
データ分析を効率よく進めていくためには、データ分析基盤の構築が必要不可欠といえるでしょう。「データ分析を導入してみたいが、自社内に知識がなく困っている」などお悩みをお持ちの場合は、データ分析をサポートしてくれるサービスを利用してみてはいかがでしょうか。
なお、TOKAIコミュニケーションズでは、「Amazon QuickSightスターターパック」という、AWSを用いたデータ分析の環境構築サービスを提供しています。データ分析に興味のある方はお気軽にご相談ください。
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