近年よく耳にする「BIツール」という言葉。なんとなくは分かっていても、具体的にどのようなツールで、どう役に立つのか、ピンときていない人も多いと思います。今回の記事では、BIツールの概要を説明するとともに、AWSが提供するBIツール「Amazon QuickSight」についてご紹介します。
目次
そもそもBIとは
そもそも、BIとは何を指す言葉なのでしょうか。はじめにBIという言葉の意味と、BIツールの持つ機能について解説していきます。
BIとは
BIは、Business Intelligence を略した用語です。BIの定義はさまざまですが、多くの場合、意思決定をする際の参考にするために企業が行うデータ分析や、分析した結果得られる知見のことを指します。具体的には、データマイニングや統計分析などがBIに含まれ、それらを支援するツールをBIツールと呼びます。
BIツールでできること
BIツールにはさまざまな機能があります。ここでは、BIツールの主要な機能を3点紹介します。
OLAP分析
OLAPは、Online Analytical Processing の略称です。
直訳すると「オンライン分析処理」となりますが、その意味の通りOLAP分析とは、収集したデータを多角的な視点から分析し、実施した施策の成果や現在抱えている問題の原因を探る分析手法のことを指します。うまく活用できれば、急な売上低下の原因などを突き止めることなども可能です。ちなみにOLAPにおけるオンラインとは、ネットワークに繋がっていることを意味するのではなく、リアルタイムに分析結果を返すことを意味します。
データマイニング
データマイニングは、収集したデータに統計的な処理を加えて分析し、知識※を取得し、今後の意思決定に役立てる分析手法です。
- ※ データマイニングで得られる知識
データマイニングで得られる知識を分類すると、以下の情報を得られます。これらは、データを活用する際のフレームワークとして、DIKWモデルと呼ばれています。
- データ(Data):整理や分類がされていない数値
- 情報(Information):データを整理・分類したもの
- 知識(Knowledge):情報から得られる傾向や知見
- 知恵(Wisdom):知識を利用して人が判断する
蓄積されたデータを分析して仮説を検証するOLAP分析に対して、データマイニングは蓄積されたデータを分析して法則性を見出し、今後のアクションに役立てるという違いがあります。
レポーティング
レポーティングは、ツールで収集・分析した結果を報告する機能です。
企業の各部門が定めるKPIを、見やすくグラフにまとめたレポートを作成機能、目標値に対するアラート機能などがあります。
BIツール選定時の注意点
近年では、さまざまな企業がBIツールを提供しているため、適切なツールを選定するのも簡単ではありません。ここからは、BIツールを選定する際の注意点を4つご紹介します。自社にあったBIツールを選定し、導入を失敗しないよう、注意点を確認しておきましょう。
必ず導入の目的と対象を明確にする
1点目の注意点として、導入目的と導入対象を明確にする必要があるという点です。
たとえば導入目的が「社内業務の中で改善できる部分がないか探したい」という場合、処理するデータ量が多くなり、利用料金は高額になります。また導入目的が不明瞭な場合、BIツールによる改善結果を数字で算出することが困難になります。
「現状どこに課題を感じ、どのようなデータを集め分析したいのか」を明確にしてから、導入を検討するようにしましょう。
既存システムとの連携に問題がないか確認する
2点目の注意点として、BIツール導入時に既存システムとの連携について考慮する点です。
分析の対象となるデータウェアハウスからの連携はできても、それ以外のERPや他システムとの連携ができないというケースも十分に想定されます。連携がうまくできず、どうしても手作業が発生する場合、余計な人的コスト・ミスが発生しやすくなります。
導入検討段階で、どこから情報を取得するのかを明確にしておき、取得元となるシステムとの連携が可能なのかを確認しておきましょう。
操作性の良さと分析機能の豊富さは十分か確認する
3点目の注意点として、操作性の良さと分析機能の豊富さについて確認しておく点です。
いくら分析機能が豊富でも、操作性が悪くて使いこなせないというケースもあります。その反対も同様で、操作性が良くシンプルにまとまっているぶん、望んだ分析ができないというケースも考えられます。導入決定前に、ツールのデモンストレーションを体験しましょう。操作性を確認し、分析できるレベル感を把握しておきます。
サポート体制が充実しているか
4点目の注意点として、サポート体制の手厚さを確認しておく点です。
導入時は特に、既存システムとの連携に不具合や問題が発生しがちです。ベンダーのサポート範囲を事前に確認しておけば、スピード感のある導入が可能です。また、導入後の不具合発生時の対応時間、利用中の不明点サポートなども事前に確認しましょう。
最近では、専門知識がないユーザー向けにセミナーを開催しているベンダーも少なくありません。企業のホームページなどを確認し、サポート体制に関する情報を集めておきましょう。
Amazon QuickSightの特長
数あるBIツールの中でも特に人気があるのが、AWSが提供するAmazon QuickSightです。ここからは、このツールの特長を解説していきます。
さまざまなデータソースからデータを取得できる
Amazon QuickSightは、AWS以外のサービスにも対応しています。Amazon Athena , Amazon Aurora , Amazon RedshiftなどのAWSのサービスはもちろんのこと、MySQL(5.1 以降), Oracle(12c 以降), PostgreSQL(9.3.1 以降)などのデータも取得可能です。また、csvやjson形式のファイルのインポートも可能となっており、さまざまなデータソースからデータを取得して分析できます。
- ※ 詳しく知りたい方は、AWS公式サイトご参照ください。
すぐに始められるうえ、サーバーレスで簡単にスケールできる
すぐに始められる点もAmazon QuickSightの魅力の一つです。アカウントを作成後、データソースを選択するだけで利用開始できます。また、Amazon QuickSightはサーバーレスサービスのため、インフラ管理は不要です。また利用規模が大きくなった場合は、簡単にスケールアップでき、柔軟な利用が可能です。
応答速度が高速
Amazon QuickSightは、SPICE(Super-fast Parallel In-memory Calculation Engine)と呼ばれる超高速のインメモリ計算エンジンを採用しています。そのため、分析データの応答・表示が速く、大容量のデータ分析処理をスムーズに進められます。
見やすく操作性の高いダッシュボード
Amazon QuickSightのダッシュボードはカスタマイズ可能で、グラフや表の作成も簡単です。視覚的に分かりやすいレポートをすぐに作成できるため、会議などで資料が求められた際にも時間をかけることなく対応できます。また、iOSやAndroidにも対応しているため、外出先でスマートフォン・タブレットなどから確認することも可能です。
TOKAIコミュニケーションズの「Amazon QuickSightスターターパック」について
Amazon QuickSightをはじめとしたBIツールについて解説してきました。
ここまで読まれた方の中には「BIツールを導入したいが、自社の人材だけで導入は難しい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。そこで最後に、当社が提供する「Amazon QuickSightスターターパック」について紹介していきます。
「Amazon QuickSightスターターパック」とは?
「Amazon QuickSightスターターパック」は、これからAmazon QuickSightを利用してデータ分析を行いたいというお客様向けに、分析環境の構築とハンズオン形式でのレクチャーを提供するサービスです。
「データ分析に興味はあるものの、どれくらいコストがかかるか分からず不安」「社内に専門知識を持つ人材がおらず、二の足を踏んでいる」という方におすすめのサービスです。当社が、Amazon QuickSightでのデータ分析に必要な環境をすべて用意するため、知識がない方でも簡単に導入できるのがポイントです。 導入から稼働後までしっかりとサポートするため、安心して利用いただけます。
まとめ
Amazon QuickSightはAWS上で利用できるBIツールであり、BIツールとして非常に高い性能を持っています。BIツールに興味がある方はAmazon QuickSightの導入を検討してみてはいかがでしょうか。また、当社の「Amazon QuickSightスターターパック」について詳しく知りたい方は、ご相談ください。
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