
「AWS上に蓄積された膨大なデータを、ビジネス成長のために活用したい」
多くの企業がそう考える一方で、「データ活用のために、どのBIツールを選べば良いのかわからない」という課題に直面しています。
特にAWS環境では、AWSネイティブのツールから、使い慣れたサードパーティ製のツールまで、様々な選択肢が存在します。
この記事では、AWS環境におけるBIツールの選定を担当されている方に向けて、以下の点をわかりやすく解説します。
- AWSで利用できる主要なBIツールの選択肢
- Amazon QuickSight、Tableau、Power BIそれぞれの特徴とメリット・デメリット
- 自社の状況に合った最適なツールを見つけるための具体的な選び方
ツール選定の失敗は、コストの浪費やデータ活用の形骸化に直結します。この記事を最後まで読めば、各ツールの違いを明確に理解し、自信を持って最適な一歩を踏み出せるようになります。
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そもそもBIとは
そもそも、BIとは何を指す言葉なのでしょうか。はじめにBIという言葉の意味と、BIツールの持つ機能について解説していきます。
BIとは
BIは、Business Intelligence を略した用語です。BIの定義はさまざまですが、多くの場合、意思決定をする際の参考にするために企業が行うデータ分析や、分析した結果得られる知見のことを指します。具体的には、データマイニングや統計分析などがBIに含まれ、それらを支援するツールをBIツールと呼びます。
BIツールでできること
BIツールにはさまざまな機能があります。ここでは、BIツールの主要な機能を3点紹介します。
OLAP分析
OLAPは、Online Analytical Processing の略称です。
直訳すると「オンライン分析処理」となりますが、その意味の通りOLAP分析とは、収集したデータを多角的な視点から分析し、実施した施策の成果や現在抱えている問題の原因を探る分析手法のことを指します。うまく活用できれば、急な売上低下の原因などを突き止めることなども可能です。ちなみにOLAPにおけるオンラインとは、ネットワークに繋がっていることを意味するのではなく、リアルタイムに分析結果を返すことを意味します。
データマイニング
データマイニングは、収集したデータに統計的な処理を加えて分析し、知識※を取得し、今後の意思決定に役立てる分析手法です。
- メリット
AWSの他サービスとの連携が非常にスムーズ。インフラ管理が不要なサーバレス構成が多く、コストを抑えやすい。 - デメリット
AWS環境に最適化されている分、汎用性や機能の多様性ではサードパーティ製に劣る場合がある。 - メリット
既に社内で利用している場合、既存のスキルや資産を活かせる。機能が豊富で、高度な分析や可視化に対応できる。 - デメリット
AWSサービスとの連携には一手間かかる場合がある。ツールのライセンス費用に加え、稼働させるためのインフラ費用と管理コストが発生する。 - データ基盤をAWSで統一している、またはこれから統一したい企業
- 初期投資や運用コストを最小限に抑えたい企業
- まずは特定の部門からスモールスタートでデータ活用を始めたい企業
- 専門のデータ分析チームがあり、高度な分析・可視化を求めている企業
- 既にTableau Desktopの利用者が社内に多く、既存スキルを活かしたい企業
- 経営層へのレポーティングで、表現力豊かなダッシュボードが求められる企業
- 全社的にMicrosoft 365を導入・活用している企業
- Excelでのデータ集計・分析が文化として根付いている企業
- 現場の担当者が自らデータを分析する、セルフサービスBIを推進したい企業
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※データマイニングで得られる知識
データマイニングで得られる知識を分類すると、以下の情報を得られます。これらは、データを活用する際のフレームワークとして、DIKWモデルと呼ばれています。
データ(Data):整理や分類がされていない数値
情報(Information):データを整理・分類したもの
知識(Knowledge):情報から得られる傾向や知見
知恵(Wisdom):知識を利用して人が判断する
蓄積されたデータを分析して仮説を検証するOLAP分析に対して、データマイニングは蓄積されたデータを分析して法則性を見出し、今後のアクションに役立てるという違いがあります。
レポーティング
レポーティングは、ツールで収集・分析した結果を報告する機能です。
企業の各部門が定めるKPIを、見やすくグラフにまとめたレポート作成機能、目標値に対するアラート機能などがあります。
AWSで使えるBIツールの主な選択肢
AWS環境でBIツールを利用する場合、大きく分けて2つの選択肢があります。
AWSネイティブツール
AWSが開発・提供しているBIツールで、代表例は「Amazon QuickSight」です。
サードパーティ製ツール on AWS
TableauやPower BIといった、AWS以外のベンダーが提供するBIツールを、AWSのインフラAmazon EC2(以後、EC2)などで利用する形態です。
まずはこの2つの大きな方向性を理解した上で、具体的なツールを見ていきましょう。
各BIツールの特徴を解説
ここでは、市場で広く利用されている代表的な3つのBIツールについて、AWS環境で利用する際のポイントを交えて解説します。
比較項目 | Amazon QuickSight | Tableau (on AWS) | Power BI (on AWS) |
---|---|---|---|
提供形態 | AWSマネージドサービス | ソフトウェア | ソフトウェア |
(サーバレス) | (EC2等に構築) | (GatewayをEC2等に構築) | |
料金体系 | 従量課金制 | ライセンス制 | ライセンス制 |
(ユーザー+利用量) | (ユーザー単位の年間契約) | (ユーザー単位の月額契約) | |
AWSとの親和性 | ◎(ネイティブ) | 〇(コネクタで対応) | 〇(Gateway経由で対応) |
強み | ・コストパフォーマンス | ・圧倒的な表現力・機能性 | ・Microsoft製品との連携 |
・AWSサービスとの連携 | ・高度なデータ分析 | ・Excelライクな操作性 | |
・インフラ管理不要 | ・大規模なユーザーコミュニティ | ・セルフサービスBIの導入しやすさ | |
考慮点 | ・機能のカスタマイズ性 ・日本語ナレッジの量 | ・ライセンスとインフラのコスト ・インフラの構築・運用管理 | ・AWS連携にはGatewayの構築が必要 ・インフラの構築・運用管理 |
AWSネイティブの第一候補「Amazon QuickSight」
AWSが提供する、完全マネージド型のBIサービスです。サーバレスアーキテクチャのため、インフラの構築や管理を一切気にする必要がありません。
特徴
Amazon S3、Amazon Redshift、Amazon AuroraなどAWS内のデータソースへの接続が非常に簡単です。
利用した分だけ支払う従量課金制で、低コストで始められるのが魅力となっています。
※詳しく知りたい方は、AWS公式サイトをご参照ください。
こんな企業に最適
高機能と表現力が魅力「Tableau on AWS」
「データ可視化」の分野で業界をリードする高機能BIツールです。直感的で美しいビジュアライゼーションが特徴です。
特徴
表現できるグラフの種類が豊富で、専門のデータアナリストによる高度な分析活動に応えることができます。AWS上で利用する場合、EC2インスタンスにTableau Serverを構築して運用するのが一般的です。
こんな企業に最適
MS製品との連携に強い「Power BI on AWS」
Microsoftが提供するBIツールです。ExcelやTeamsなど、多くの企業で導入されているMicrosoft 365との親和性が非常に高いのが特徴です。
特徴
Excelに近い操作感で、現場のビジネスユーザーでも比較的扱いやすいです。AWS上のデータに接続するには、EC2上に「Power BI Gateway」を設置し、クラウド上のPower BIサービスと連携させる構成が一般的です。
こんな企業に最適
失敗しない!自社に合ったAWS BIツールの選び方【3つのポイント】
「結局、自社にはどれが合っているのか?」 その疑問に答えるため、ツール選定の判断軸となる3つのポイントを紹介します。
Point 1:コストとライセンス体系で選ぶ
「利用頻度にばらつきがある」「まずは小さく始めたい」という場合は、使った分だけの支払いで済むAmazon QuickSightが最適です。一方、「利用ユーザー数が固定されており、年間で予算化したい」場合は、TableauやPower BIのライセンス制が管理しやすいでしょう。ただし、インフラ費用も忘れずに考慮する必要があります。
Point 2:データソースと既存環境の親和性で選ぶ
データの大半がAmazon S3やAmazon RedshiftなどAWSサービス上にあるなら、連携が最もスムーズなAmazon QuickSightが第一候補です。逆に、社内標準がMicrosoft 365で、多くの社員がExcelやTeamsを使っているなら、Power BIの方が導入・定着はスムーズに進むでしょう。
Point 3:利用者のスキルや組織の文化で選ぶ
専門のデータアナリストが高度な分析を行うなら、機能が豊富なTableauがその能力を最大限に発揮します。一方で、IT部門だけでなく、営業やマーケティングなどの現場担当者が自分でデータを触る文化を目指すなら、操作が比較的容易なAmazon QuickSightやPower BIが向いています。
まとめ
この記事では、AWS環境で利用できる主要なBIツールを比較し、その選び方を解説しました。
BIツールには「AWSネイティブ」と「サードパーティ製」の選択肢があり、Amazon QuickSight、Tableau、Power BIには、それぞれ明確な強みと適した利用シーンがあります。
最適なBIツールは、企業の状況や目的によって大きく異なります。もし、「自社の場合はどうだろう?」「データ基盤全体の設計から相談したい」とお考えでしたら、専門家の知見を活用することをお勧めします。
TOKAIコミュニケーションズの「Amazon QuickSightスターターパック」について
Amazon QuickSightをはじめとしたBIツールについて解説してきました。
ここまで読まれた方の中には「BIツールを導入したいが、自社の人材だけで導入は難しい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。そこで最後に、当社が提供する「Amazon QuickSightスターターパック」について紹介していきます。
「Amazon QuickSightスターターパック」とは?
「Amazon QuickSightスターターパック」は、これからAmazon QuickSightを利用してデータ分析を行いたいというお客様向けに、分析環境の構築とハンズオン形式でのレクチャーを提供するサービスです。
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