最終更新日:2024.01.04

CloudEndure Disaster Recoveryを使用した災害対策とは ~増える日本の災害とAWSを活用した災害対策について~

皆さんは、大規模災害が起きた時のシステム障害に備えた対策はできていますか?今回は、AWSを活用した災害対策をご紹介します。

自然災害発生状況を把握し対策を考える

日本の災害発生状況とは

日本で発生している災害発生件数と被害額を確認してみます。

下記は、中小企業庁が発表している1971年から2018年までの、自然災害発生件数と被害額の推移を表すグラフです。阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)発生時には、災害発生件数・災害被害額ともに大きく跳ね上がっていることがわかります。直近の2016年から2018年には、熊本地震(2016年4月)、台風による大雨災害、豪雨災害などが発生しており、自然災害は変動を伴いながら増加傾向にあるといえます。今後も気候変動の影響により水害の頻発が懸念されます。

資料:ルーバン・カトリック大学疫学研究所災害データベース(EM-DAT)より中小企業庁作成
  • (注)1.1971年~2018年の自然災害による被害額を集計している。
  • (注)2.2018年12月時点でのデータを用いて集計している。
  • (注)3.EM-DATでは「死者が10人以上」、「被災者が100人以上」、「緊急事態宣言の発令」、「国際救援の要請」のいずれかに該当する事象を「災害」として登録している。

(出典)[2019年度 中小企業白書,第3部 第2章防災・減災対策3ページ],中小企業庁 PDF

さらに、地震データを確認してみます。

こちらは、気象庁の震度データベース検索の結果で、2001年1月1日から2011年1月1日までの震度5弱以上の地震発生データです。地震発生回数は89回でした。

こちらは、2011年1月1日から2021年1月1日までの震度5弱以上の地震発生データです。地震発生回数は、186回でした。図からも分かるように、近年震度5弱以上の地震は、増加傾向であることが分かります。

  • 震度5弱の地震とは...大半の人が恐怖を覚え、物につかまりたくなる。棚にある食器類は落ち、不安定な家具が倒れるくらいの地震

大規模災害発生予測地域の災害対策とは

下記は、政府 地震調査研究推進本部が発表した[全国地震動予測地図2020年版]内にある、今後30年間に震度5弱以上の揺れに見舞われる確率(平均ケース・全地震)を表したデータです。太平洋側は、高い確率で震度5弱以上の地震が発生すると推測されています。

(出典)[今後30年間に震度5弱以上の揺れに見舞われる確率(平均ケース・全地震)] 6ページ, 全国地震動予測地図2020年版, 政府 地震調査研究推進本部地震調査委員会 PDF

地震発生と共に、津波、土砂崩れ、停電、火災などの二次災害が発生する可能性があります。身の安全を第一に、身の回りの防災対策が十分なされているか定期的に確認することが必要です。ビジネスにおいては、オフィス内などのオンプレミス環境でデータを保管している方は、システムをクラウドに移行したり、オンプレミス環境のデータバックアップ先をクラウドに変更したり、といった災害対策を検討することをお勧めします。

クラウドへ移行するメリットとは?オンプレミスとクラウドの違いから説明します! | AWS活用法

AWSの活用で災害時のシステム障害リスクを最小限に

CloudEndure Disaster Recoveryとは

CloudEndure Disaster Recovery 新規ウィンドウで開くは、Disaster Recovery(災害からの回復)という名前のとおり、「災害対策に特化したサービス」です。
データセンターの障害やサイバー攻撃、システムの破損などが生じた際に、物理・仮想・クラウド上に存在するサーバの被害を最小限に抑えることができます。

CloudEndure Disaster Recoveryでは、非同期的で継続的なレプリケーションが行われており、RTO(復旧時間)が数分単位、RPO(データの復旧地点)がミリ秒単位で実現されます。
つまり、災害時において稼働しているサーバ等に重大な問題が発生したとしても、災害が発生してからわずか数分でレプリケーションサーバが災害直前のデータを持っている状態で稼働し、事業を再開します。
このため災害時もデータの損失がほぼ起きず、災害発生から数分後には平時と同様の事業を行うことが可能となります。

CloudEndure Disaster Recoveryによる災害対策の構築図

下記はCloudEndure Disaster Recoveryを使用し、オンプレミス環境に存在するデータをバックアップし災害時の復旧を可能にする構成図です。青線が通常時の動き、赤線が災害(障害)発生時の動きとなります。

災害対策の構築図

大まかな構築方法

  • (1)
    バックアップを取得したいオンプレミス環境の物理サーバのマシンにCloudEndure Agentを導入し、AWS環境にレプリケーションサーバを構築します。
  • (2)

    CloudEndure Disaster Recoveryの機能で継続的にデータをレプリケーションします。

  • (3)
    災害時には、レプリケーションサーバからレプリケート元と同じシステムをAWS環境に構築することで、機能を停止させずに事業を継続することが可能となります。

実装時に発生する費用イメージ

まずは、今回使用したソリューションサービスをおさらいします。

CloudEndure Agent

データのレプリケーションを行いたいマシン1台につき1つ導入します。
料金は1時間単位で課金され『$0.028/時間』となり、1ヶ月で1台当たり発生するコストは、約$20となります。

Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)

Amazon EC2は、Amazonが提供するクラウドサービスの内のひとつで、仮想サーバを提供しています。LinuxやWindowsなど様々なOSの仮想サーバを素早く実行するための環境を用意することができ、利用者が多いことが特長です。
CloudEndure Agentを導入しますと、レプリケーションサーバとして自動で作成されます。1時間単位の課金が発生し、選択するサーバのOS、コア数、メモリ容量に応じて、時間単価は異なります。

Amazon EBS(Amazon Elastic Block Store)

Amazon EBSは、Amazon EC2と共に使用するために設計されたブロックストレージサービスです。AWS上で操作できる仮想ディスクとして、Amazon EC2インスタンスへ接続して使用することが可能です。
CloudEndure Agentを導入後、自動で作成されます。アプリケーションの特性に応じて、パフォーマンスと料金の異なる4つのボリュームタイプを選択することができます。1GB単位での容量月額課金が発生します。

AWSサポート

AWSサポートは、AWSによるユーザサポートのことです。選択するプランによって、月額サポート料金、問い合わせ対応時間などが変わってきます。そのため、ご自身の環境にあったプランを選択することが重要となります。
当社では、AWSプロフェッショナルによる日本語サポートを24時間年中無休でいつでも利用できる、AWSビジネスサポートのご利用をお勧めしております。発生中の障害に対しての初回応答時間は1時間以内と早い対応が特徴です。

月額の発生費用例

先ほどご紹介した4つの課金発生項目で、毎月どのくらいの課金が発生するのか試算してみました。
CloudEndure Agentの台数、Amazon EC2の台数・スペック、Amazon EBSのボリュームを、以下のような一例で試算してみます。

No. 詳細 数量 金額(月額)
1 CloudEndure Agent($0.028*24h*30d) 150台 $3,024.00
2 EC2(レプリケーションサーバー)t3.small、Linux 10台 $124.83
3 EBSボリューム(200GB*150) 30000GB $3,600.00
4 AWSビジネスサポート料金(10%) - $674.89
合計(USD) $7,423.72
合計(JPY)※1ドル110円計算、小数点以下切り上げ ¥816,610

CloudEndure Agentの台数:150台
Amazon EC2のスペック:t3.small(デフォルトのサイズ)
Amazon EC2のサーバ数:10台(Agent導入マシン15台につき1サーバ(推奨の数))
Amazon EBSボリューム:Agent導入マシン1台につき200GB想定

  • 2021年4月現在のUSDレート 1USD=110円で試算。

終わりに

今回はCloudEndureを使用した災害対策について簡単に説明させていただきました。実際に災害対策の構築・運用を行う際には、さまざまな考慮事項がありますが、お客様のご要望に合わせて弊社で検討・提案をさせていただきます。是非お気軽にお問い合わせ 新規ウィンドウで開くください。

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