当たり前のことが当たり前ではなくなった、2020年。
同時に、ICTを活用したデジタル・トランスフォーメーション(DX)やテレワークの実現にクラウドサービスが様々な場所で多用されるようになりました。将来的なクラウドサービスの利用を検討されている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、オンプレミスとクラウドの違いやクラウドへ移行するメリットをまとめていますので、自社システムのクラウド移行を検討する際の参考にしていただければ幸いです。クラウド移行のお客様事例もあわせてご覧ください。
目次
オンプレミスとクラウドの比較
オンプレミスとは?
オンプレミスとは、自社が管理する設備やデータセンター内にサーバやストレージなどの機器を設置し運用する方式のことです。
「オンプレ」と略されることもあり、自社運用とも呼びます。
オンプレミスのメリット
1. カスタマイズを自由に行うことが可能
サーバやソフトウェアなどを自社で構築・管理するため、要件に合わせて自由にシステムを構築することが可能です。
2. サーバ稼働場所が身近にあるため遅延が少ない
世界各地でサーバが稼働しているクラウドと比較してサーバとの物理的距離が近いため、サーバやソフトウェアを利用する際に通信遅延が小さくなります。
オンプレミスのデメリット
1. 初期費用が高くなりがち
サーバなどの機器の購入や設置場所の確保が必要となるため、クラウド利用時と比較すると、初期費用が高くなる傾向があります。
2. 自社での運用保守・資産管理が必要
サーバなどの機器の購入、サーバの運用保守・資産管理、保守契約が切れそうな機器の買い替えなど、すべて自社で行う必要があります。
3. 機器の故障に備える必要がある
オンプレミスでは機器の故障にも自社で対応しなければなりません。そのため、交換用機器の準備や監視運用、故障時の機器入替の手間が発生します。また、大規模災害に備える場合は、複数のオンプレミス拠点を用意し、切り替えテストなどを行う必要があります。
4. セキュリティ対策も利用者自身で行う必要がある
クラウドではベンダーが担当するハードウェア部分のセキュリティ対策も、オンプレミスでは利用者自身で行う必要があります。
クラウドとは?
クラウドとは、主にインターネット経由でクラウドベンダーが用意したサーバやストレージなどの機器を必要な分だけ利用し、利用した分だけ料金を支払うサービスの総称です。クラウドは、「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2つに分けられます。
パブリッククラウドは、一般ユーザや企業にサービスを提供するクラウドサービスです。代表的なサービスには、Amazon Web Service(AWS)やMicrosoft Azureがあります。一方、プライベートクラウドは、企業が自社内でクラウドを構築・運用し、特定のユーザだけが利用できるクラウドサービスです。
現在クラウドサービスは、国内で広く普及しています。
クラウドサービスの提供形態は、「Infrastructure as a Service(IaaS)」「Platform as a Service(PaaS)」「Software as a Service(SaaS)」と、3つの提供形態があります。
IaaS
サーバやストレージなど、ハードウェア・インフラを提供するクラウドサービスです。
サーバなどの物理機器の運用はクラウドベンダーが実施し、利用者は仮想サーバを利用します。カスタマイズ・自由度が高く、利用者がOSアプリケーションを選択・導入することが可能です。ただし、自由度が高い反面、適切に運用するためのスキルが必要となります。
PaaS
システム開発に必要なミドルウェア、データベース管理システム、OSなどのソフトウェアを利用するためのプラットフォームを提供するクラウドサービスです。
利用者は、インフラを管理する必要がないため、アプリケーションの開発に集中することが可能です。ただし、クラウドベンダーが提供するクラウド環境のみ利用可能なため、利用者の自由度は低くなります。
SaaS
パッケージとして従来提供されていたアプリケーションを含めた、ソフトウェア全体を提供するクラウドサービスです。
利用者ごとの個別カスタマイズは難しいことが多いですが、簡単かつ安価に利用を開始できるというメリットがあります。
オンプレミスと3つのクラウドを比較図
クラウドのメリット
1. 必要なときに必要なリソースを必要な分だけ利用可能
Webブラウザ上で簡単にサーバを調達・起動させることができるため、オンプレミスと比較し、リードタイムを短縮することが可能です。例えば、Webサイトにアクセスが急増した際にはリソースを増強し、ピーク後にリソースを削減する、といったような柔軟な対応が可能となります。
2. 初期費用を抑えられる
従来では、データセンターやサーバなどを利用者自身で用意する必要があり、膨大な初期コストが必要でした。
しかし、クラウドを利用する場合は、利用者自身でデータセンターやサーバなどを準備する必要がないため、オンプレミス構築時と比較すると、初期コストを下げることが可能です。また、保守切れを迎えたハードウェアの更新といったメンテナンス作業はクラウドベンダーに任せることができ、運用保守のコストも下げることが可能です。
3. 可用性の向上
クラウドでも大規模災害に備え、複数拠点で冗長構成を取るような場合は、運用コストもオンプレミス時と同様に増加します。しかしその分、オンプレミスと比較すると、運用時の手間を減らすことができます。
クラウドサービスによっては、自動的にデータセンター設備を冗長構成に設定変更したり、機器が故障した場合には自動的に別の機器に移行したりする機能を提供している場合もあります。
4. 利用者が行うセキュリティ対策を限定的にできる
ハードウェアなどを設置している場所のセキュリティは、クラウドベンダーにて管理されるため利用者が気にする必要はありません。利用者自身でセキュリティ管理が必要になる部分は、利用するクラウドの種類に応じて限定的になります。オンプレミスと比較して、運用の手間を減らすことが可能です。
クラウドのデメリット
1. 従量課金制の場合は請求時点まで請求金額が確定しない
利用するクラウドサービスが従量課金制の場合、クラウド規模や使用する時間によっておおよその利用金額をシミュレーション可能ですが、利用した分だけ料金を支払う特性上、正確な請求金額は請求時点まで確定しません。
2. 自社専用にカスタマイズが難しい
クラウドベンダーが管理している部分があるため、その部分については利用者ごとの独自カスタマイズが難しい場合があります。
3. 通信遅延が起こる可能性がある
オンプレミス時は通信速度に問題がなかった場合でも、ソフトウェアやシステムをクラウドに移行することにより、トラフィック量が集中し、通信速度に影響を及ぼす場合があります。クラウド移行時に快適に利用するためにも、「何を一番大切にしてクラウド利用をしたいのか」を明確にし、利用回線を含めて導入プランニングをする必要があります。
ハイブリッドクラウドとは?
ハイブリッドクラウドとは、「クラウドのみ、オンプレミスのみ」で環境を構築するのではなく、双方をうまく組み合わせ、両方のメリットを受けられるように構築された環境を示します。
これまで説明してきたように、オンプレミスとクラウドにはそれぞれメリット、デメリットがあります。
ハイブリッドクラウド構成とすることで、機密性の高い情報はオンプレミスに配置してしっかりと管理を行いながら、外部からのアクセスや災害対策には、クラウドを利用するなど柔軟にシステムを構築することができます。目的にあったサービスを選択することで、オンプレミス、クラウドのよい部分だけを組み合わせた構成が可能になるといったメリットがあります。
ただし、オンプレミス、クラウドを組み合わせることによりシステムが複雑化しやすいため、双方をうまく併用するシステムを構築するには高いスキルも必要となります。
オンプレミスとクラウド 選択の基準は?
比較のポイント
ここまでご説明してきた、オンプレミスとクラウドを項目ごとに比較しまとめてみました。
項目 | オンプレミス | クラウド |
---|---|---|
初期コスト | × |
○ |
導入スピード | × |
○ |
災害対策 | △ |
○ |
拡張性 | × |
○ |
既存システムとの連携しやすさ | ○ |
△ |
運用コスト | × |
○ |
セキュリティ | ○ |
◎ |
当社がオススメする選択の基準
比較表をまとめると、まずは一度クラウドを検討してみることをお勧めします。
拡張性が高いので初期費用は少なく済み、必要であればサーバ追加が容易にできます。また、Webサイトなどの不特定多数からアクセスされるようなシステムはクラウドのメリットを最大限に生かしやすいです。
オンプレミスは、クラウドでは利用できないような自社環境向けにカスタマイズされているようなシステムや、数ミリ秒の通信遅延が大きく影響するようなシステムでの利用をお勧めします。
ハイブリッドクラウドは、全面的なクラウド移行への途中段階、オンプレミスに向いているシステムとクラウドに向いているシステムを組み合わせて利用したいような場合にお勧めします。
まとめ
まとめ
今回は、オンプレミスとクラウドの違いについてご説明しました。
オンプレミスとクラウドを比較すると、コスト面や柔軟にリソースを増減可能な点、など様々な面でクラウドに軍配が上がります。また外出を控える必要のある世の中ですが、インターネットなどの接続回線にさえつながっていれば利用ができるがクラウドです。
TOKAIコミュニケーションズでは、AWS導入サポートサービスはもちろんのこと、自社回線を利用したクラウド接続サービスも提供しております。クラウド移行に興味がありましたら、是非お問合せください。
AWSを導入したお客様の事例
AWSを活用し、社内システム・サーバをクラウド移行したお客様事例をご紹介します。
ぜひ、導入のご参考にしていただければ幸いです。
事例1. トランスコスモス株式会社 様
これまで同社では、社内の業務系基幹システムをオンプレミス環境で随時構築していました。運用負荷の増大やシステム単位でのサーバスペックの過剰・不足、拡張困難といった課題を抱えていましたが、データベースを含む既存のシステム環境をそのまま移行できること、そして将来的にはSaaSのような使い方まで期待できることを理由にAWSを選択されました。
AWS導入事例 | トランスコスモス株式会社様2. 社会福祉法人静岡市社会福祉協議会 様
これまで静岡市社協は、事業活動を支える各種情報システムをデータセンター内のオンプレミス環境で稼働していました。しかし、使用していたサーバがリプレイス時期かつ、利用していたデータセンターも同じ時期に閉鎖されることになったため、インフラを刷新するプロジェクトを始動。仕事を外出先や自宅からリアルタイムに処理する環境を作りたいという思いや、多くの提供実績があり技術情報も豊富なAWSを選択されました。
AWS導入事例 | 社会福祉法人静岡市社会福祉協議会様3. グンゼ株式会社 様
これまで同社では、基幹システムのひとつである財務会計システムを自社のオンプレミス環境で稼働していました。サーバの減価償却が終了するタイミングでクラウドへの移行を計画。既に他システムをAWS環境・AWS Direct Connectを導入していたこともあり、AWSを選択されました。
AWS導入事例 | グンゼ株式会社様