最終更新日:2024.10.29

AWS IoT Coreとは? 主な機能や気になる料金について解説!

近年、私たちの生活はIoTによって大きく変化しています。スマートフォンで照明を操作し、外出先からエアコンを起動できる時代になりました。企業においても、IoTは生産効率の向上や新たなビジネスモデルの創出などに大きな恩恵をもたらしています。しかし、IoTの普及に伴って、多くのデバイスがインターネットに接続されるようになり、セキュリティリスクが急激に高まりました。こうした課題の解決に役立つのが、「AWS IoT Core」です。AWS IoT Coreを使えば、AWS上で簡単かつ安全なIoTシステムを構築できます。本記事では、AWS IoT Coreのサービス概要や料金体系、主な機能などを紹介していきます。

AWS IoT Coreとは

まず、AWSIoT Coreのサービス概要や料金体系について紹介します。

AWS IoT Coreは、複数のIoTデバイスを一元管理して制御できるサービスです。専門知識がなくても簡単にIoTシステムを構築でき、デバイスのデータ収集や分析、セキュリティや自動スケーラビリティなど、IoTシステムに必要な機能を備えています。AWSは、IoTシステム構築に必要なさまざまなサービスを提供しており、中でもAWS IoT Coreは、その中核を担う存在です。複数のIoTデバイスから送られてきた情報を集約し、その他のAWSサービスに送るハブとしての役割を担っています。

AWS IoT Coreの料金体系

インフラストラクチャ費用やライセンス料などの最低利用料金はなく、使用したコンポーネント分のみ料金に加算される仕組みで、その額はサービスごとに異なります。サービスごとの料金は、以下の通りです。

【料金例】
  • AWS IoT Coreとデバイスの接続:0.096 USD(接続100万分あたり)
  • MQTTおよびHTTPのメッセージング料金
    • メッセージ10億件まで: 1.20 USD(メッセージ100万件あたり)
    • 次のメッセージ40億件:0.96 USD(メッセージ100万件あたり)
    • メッセージ50億件超: 0.84 USD (メッセージ 100 万件あたり)"

最新の料金プランは、AWS公式サイト新規ウィンドウで開くをご確認ください。

AWS IoT CoreのユーザーがAWSアカウントを作成した日から、12か月間の無料利用枠が用意されています。無料枠の上限は、以下の通りです。

  • 接続時間:225万分
  • メッセージ:5万件
  • レジストリまたはデバイスシャドウのオペレーション:22万5千回
  • トリガールール:25万件
  • 適用アクション:25万件

AWS IoT Coreの主な機能

続いて、AWS IoT Coreの主な機能を5つ解説します。

デバイスゲートウェイ

デバイスゲートウェイは、複数のIoTデバイスをまとめてAWS IoT Coreに接続するための機能です。AWS IoT Coreは、「MQTT」「MQTT over WebSockets (WS) Secure」「HTTPS」といった複数の通信プロトコルに対応しており、デバイスゲートウェイでこれらのプロトコルを管理します。IoTデバイスとクラウド間の通信を効率化し、一元管理を可能にしているのがデバイスゲートウェイです。

認証サービス

認証サービスは、接続しているデバイスが正しい接続先であるかどうか判断するための機能です。IoTデバイスとAWSが安全に接続するためには、接続デバイスや接続先が正しいものかどうか判断する必要があります。というのも、不正なデバイスがシステムに侵入し、データの改ざんやシステムがダウンする可能性があるためです。認証サービスは、IoTデバイスのセキュリティを確保する重要な役割を果たしています。

なお、認証サービスには、IoTデバイスが正しいAWS IoT Coreサーバーと接続しているかどうか確認する「サーバー認証」や、AWS IoT Core側が正しいデバイスかどうか確認する「クライアント認証」など、いくつかの種類があります。

メッセージブローカー

メッセージブローカーは、IoTデバイスから送信されたデータを受け取って、次の処理に向けてデータを流す機能のことです。AWS IoT Coreでは、「Publish(送信)/ Subscribe(受信)型モデル」を採用しており、送信と受信が独立しているため、送信者が受信者の状況を気にせずデータを送れる非同期処理が可能となっています。これにより、システム全体の効率化とスケーラビリティが向上し、IoTデバイスから送られてくる大量のデータをスムーズかつ効率的に処理できます。また、集められたデータはトピックという識別子で適切に振り分けられ、さまざまなIoTデバイスがそれぞれに必要なデータだけをリアルタイムに取得できます。

ルールエンジン

ルールエンジンは、IoTデバイスから送信されたデータを加工・フィルタリングして、他のAWSサービスに渡す機能です。フィルタリングする際は、SQLを使うことができます。特定の条件に合致するデータのみを抽出し、不要なデータ処理を省けるので、処理の効率化を図れます。

デバイスシャドウ

デバイスシャドウは、AWS IoT Coreに接続するIoTデバイスの現状を取得・保存するための機能です。IoTデバイスの電源のオン・オフや温度、湿度など、現在の状況を取得して保存します。デバイスの状態をクラウドに保存しておくことで、再接続時に正常に起動され、安全なシステム稼働を実行できます。

AWS IoT Coreを利用するメリット

続いて、AWS IoT Coreを利用する際の主なメリットを解説します。

AWSの他のサービスとの連携がスムーズに行える

AWS IoT Coreの最大の利点は、他のAWSサービスと連携したIoTシステムの構築が容易になることです。Amazon S3やAmazon QuickSight、AWS LambdaなどさまざまなAWSサービスとシームレスに連携でき、分析を促進できます。AWSは、IoT Core以外にもさまざまなIoTサービスを提供しており、こうしたサービスを活用することで、専門知識がなくても、簡単にIoTシステムを構築できます。

本文内にご紹介した親和性の高いサービスについて更に知りたい方は、以下の記事を参照してください。

【参考記事】Amazon S3入門|導入メリット・機能・ユースケース・料金を解説

【参考記事】Amazon QuickSight入門|活用事例やダッシュボード作成時のポイントを紹介!

【参考記事】サーバを立てずにプログラムを実行できる「AWS Lambda」とは?

セキュアなIoTシステムを構築できる

先述の通り、AWS IoT Coreでは、さまざまな認証サービスが用意されています。接続するすべてのポイントで相互認証と暗号化を行えるため、安全な通信を実現できます。デバイスとAWS IoT Coreの間では、信頼できるデータのみが交換されることとなり、セキュリティ面で非常に信頼できるシステム環境の構築が可能です。

大規模なIoTシステム構築も可能

IoTシステムは、高いスケーラビリティが求められます。デバイスの増加に伴って、システムに接続されるデータ量が爆発的に増大し、処理能力が不足する可能性があるためです。その点、AWS IoT Coreは、自動スケーリング機能を装備しているため、デバイスの増加に合わせたシステムの自動拡張が可能です。高い可用性とパフォーマンスを担保でき、大規模なIoTシステムでも安定に稼働させられます。

AWS IoT Coreの活用事例

ここからは、AWS IoT Coreの活用事例を3つ紹介します。具体例を知ることで、自社の課題解決へのヒントを得られるでしょう。

【建材業界】LIXIL

会社の概要

株式会社LIXILは、お風呂やトイレ、キッチンなどの水周り製品、窓やドアなどの建材を中心とした住関連サービスを提供する総合住宅設備機器メーカーです。

抱えていた課題

商品の再配達時に発生する課題をはじめとした物流問題に対応するため、戸建住宅向けの「スマート宅配ポスト」を開発する運びとなり、IoTプラットフォームの構築を行うことに。その際、迅速なサービスリリースの速度や、公開されている技術情報の豊富さなどの理由から、AWS IoT Coreを採用することになりました。

AWS IoT Core導入による効果

AWS IoT Coreを導入した結果、6か月でIoTプラットフォームの構築に成功し、インフラ運用の負荷も大幅に削減できました。今後はスマート宅配ポストを業界全体に浸透させるため、宅配業者やハウスメーカー、EC事業者にデータを公開するとともに、APIを活用して他のサービスと連携することを目指しているそうです。

【PC周辺機器メーカー】Belkin

会社の概要

Belkinは、コンピュータの周辺機器を開発・販売しているアメリカの会社で、日本でもApple製品の周辺機器の販売などで知られています。

抱えていた課題

同社が開発した家電製品を遠隔操作できる製品「Wemo」を運用するにあたり、従来のサーバーでは管理が非効率で急激に増加するデバイス数に対応できず、システムの不安定化や開発サイクルの長期化などが課題となっていました。そこで、AWS IoT Coreを採用し、IoTプラットフォームを刷新に着手しました。

AWS IoT Core導入による効果

AWS IoT Coreを活用した結果、開発サイクルがもともと12か月程度かかっていたのが、7か月未満となり、40%以上の開発期間短縮に成功。さらに、高価なTURN サーバーからの移行を進めることで、30~40%のコスト削減も見込まれています。

【調理器具メーカー】Traeger Grills

会社の概要

Traeger Grillsは、バーベキューグリルやその関連商品を販売するアメリカの会社です。

抱えていた課題

Wi-Fi対応のペレットグリルを販売していましたが、IoTベンダーがプラットフォームの廃止を発表したため、短期間で新しいプラットフォームに移行する必要に迫られました。そこで、AWS IoT Coreを中心とした新しいIoTプラットフォームを構築することとなりました。

AWS IoT Core導入による効果

AWS IoT Coreを採用した結果、11.1万台のIoTデバイスと70万件のユーザーアカウントを3か月で移行が実現しました。数百万台のデバイスに対応できるスケーラブルなIoTプラットフォームを構築でき、1デバイスあたりのコストを90%削減することに成功しました。

まとめ

AWS IoT Coreの最大の利点は、AWSの豊富なサービスとスムーズに連携できることです。AWS IoT Coreを使えば、AWS上でIoTシステムを簡単に構築でき、IoTシステムの開発期間の短縮やコスト削減、スケーラビリティの向上など、多くのメリットを得られます。また、高いセキュリティも確保されており、さまざまなデバイスと安全な接続が可能です。この機会にAWS IoT Coreの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

また、現在IoTシステムの導入を検討中の方、AWS上でのIoTシステム構築でお悩みの方は、当社までお気軽にご相談 新規ウィンドウで開くください。AWS導入の豊富な経験と専門知識を持つ専門家が、御社のニーズにマッチする柔軟なサポートをご提供いたします。

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