最終更新日:2023.04.05

国内中小企業のクラウド利用状況は? クラウド利用の実態とクラウド移行すべき理由を徹底解説!

最近では、中小企業の間でもクラウド利用が進んでいます。「人手不足だからクラウド利用は難しい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。実は人手不足の中小企業こそ、クラウド移行・利用によって得られるメリットは大きいものです。

そこで今回は、中小企業のクラウド利用事情と、クラウド導入を進めるべき理由を解説します。

国内中小企業のクラウド利用状況

はじめに、公的機関が公表しているデータをもとに、国内の中小企業クラウド利用状況を見ていきます。

どれくらいの中小企業がクラウドを利用している?

まず、国内の中小企業の立ち位置を確認しておきましょう。中小企業庁が公表しているデータ 新規ウィンドウで開くによれば、2016年時点で日本における中小企業の割合は全企業の99.7%を占めています。日本の企業のほとんどは中小企業で、大企業と呼ばれる企業はごくわずかに過ぎません。なお、中小企業の定義は中小企業基本法で定められており、業種によって異なります。具体的にいうと、製造業の場合は資本金3億円以下または従業員数が300人以下、小売業の場合は資本金5千万円以下または従業員数50人以下などです。

(引用)中小企業庁 白書・統計情報(中小企業の企業数・事業所数) 集計結果の概要
  • ※1上記の中小企業・小規模事業者の区分には、中小企業基本法以外の中小企業関連法令において、中小企業または小規模企業として扱われる企業が反映されております。
  • ※2今回公表する企業数は、2016年6月時点のものです。

では、国内の中小企業はどれだけクラウドを活用できているのでしょうか。総務省の『令和3年版情報通信白書』 新規ウィンドウで開くによれば、日本企業の中でクラウドサービスを少しでも利用している企業の割合は2020年時点で68.7%となっています。

クラウドサービスの利用状況
(引用)総務省 令和3年版情報通信白書 第2部基本データと政策動向 図表4-2-1-17 クラウドサービスの利用状況

さらに中小企業のクラウド利用状況を知るためには、総務省が公表している『令和3年通信利用動向調査の結果』 PDF内の資本金別クラウドサービスの利用状況が参考になります。本資料によると、2020年時点で資本金1千万円未満の企業のクラウド利用状況が44.2%、1千万円~3千万円未満が58.2%なのに対し、資本金1億円~5億円が77.3%、50億円以上の企業では95.0%となっています。このデータを見れば、資本金とクラウド利用率が比例しており、中小企業ではまだまだクラウドサービスが普及していないことがわかるでしょう。

資本金別クラウドサービスの利用状況
(引用)総務省令和3年通信利用動向調査の結果 P30 資本金別規模別グラフ箇所

国内企業でクラウド利用が広がる背景

先ほどの資料からもわかるように、中小企業の間ではまだ十分に普及しているとはいえませんが、それでもクラウド利用率は年々上昇しています。では、なぜクラウドを利用する企業は増えているのでしょうか。ここからは、国内の中小企業でクラウド利用が広がっている背景について解説します。

新型コロナウイルス感染症の蔓延による働き方の変化

クラウド普及の動きは、コロナ禍以降さらに注目されるようになりました。コロナ禍において、日本企業が特に頭を悩ませてきたのが、テレワーク・リモートワークの問題です。クラウドを利用したリモートワークであれば、自宅・外出先・客先などから、社内とおなじ感覚で業務ができます。感染を防ぐために在宅勤務やテレワークなどが推奨される時代になったことで、リモートワークと相性の良いクラウドが注目され、利用が広がりました。

DXの推進(2025年の崖問題)

経済産業省主導で推進されているデジタル・トランスフォーメーション(以降、DX)がキッカケとなり、クラウド利用が各企業で進んでいます。経済産業省は2025年の崖問題に警鐘を鳴らし、DXの推進を企業に呼びかけています。
2025年の崖問題とは、2025年までに既存のITに関する諸問題を解決しなければ、莫大な経済損失が発生するという問題提起です。この問題は、システムの老朽化やIT人材の不足、DXの停滞などの要因によって引き起こされるものと考えられています。

特に、老朽化したシステムは改修が非常に困難です。システム全体を把握しきれていないために余計なコストがかかってしまうケースや、システムに合わせた業務になっているせいで生産性が低下しているケースも少なくありません。そこで、各企業がDXに取り組み、DXの一環としてクラウド利用が進んでいるのです。

中小企業がクラウドを利用するメリット・デメリット

では中小企業にとって、社内にクラウドを導入したら、どのようなメリットがあるのでしょうか。クラウド導入を推進するにあたり、クラウド利用のメリット・デメリットを確認しておきましょう。

クラウドを利用するメリット/デメリット

クラウド利用のメリット

中小企業がクラウドを導入するメリットとしては、大きく以下の3点が挙げられます。

  • 初期費用を抑えられるうえ、導入までの期間が短い
  • 柔軟性に優れており、最小限のコストで利用できる
  • 可用性を高められる

クラウド化の主なメリットの1つが、初期費用を抑えながら短期間で導入できるという点です。オンプレミスの場合、自社でリソースを調達する必要があるため、初期費用がかかります。さらに、調達および環境構築に時間を要します。
クラウドであれば、自社でリソースを確保する必要がありません。スペックの変更もインターネット上から簡単にできるため、利用状況に応じてスペックを随時変更すれば、利用コストを最低限に抑えることができます。また、追加でサーバーを用意するなどの必要がないことから、最低限の投資で可用性を高められるという点もクラウドならではのメリットです。

クラウド利用時のデメリット

以下のデメリットを理解したうえで、クラウド導入を進めるべきか検討しましょう。

  • 他システムとの連携面など、カスタマイズ性に限界がある
  • クラウドならではの専門知識が求められる

1点目は、カスタマイズ性の限界です。特にSaaSやPaaSと呼ばれるクラウドサービスの場合、利用するOSやソフトウェアなどが限られてきます。IaaS型のクラウドサービスでも、オンプレミスに比べると自由度は劣り、社内システムとの連携ができないといった問題に直面する可能性があります。

2点目は、クラウドならではの専門知識を要するという点です。例えばAWSを利用してクラウド環境を構築する場合、ITインフラ周りの知識だけではなく、AWSの知識も必要になります。ひとえにAWSといっても、サービスは多岐にわたるため、ユーザーは自社の目的に応じたサービスを選んだうえで適切な構成を考えなければなりません。AWSの知識が不十分な状態でシステム構築を進めるのは極めて困難です。

中小企業がクラウド化に際して直面している課題

ここまで、クラウド利用のメリット・デメリットを紹介してきました。
続いてもう1点知っておきたいのが、クラウド導入を進めようとしている中小企業が直面している課題についてです。この記事でも紹介した通り、まだ本格的に着手できていない企業がいるのも事実です。では、なぜクラウド導入を進められないのでしょうか。

大きな問題として挙げられているのが、社内のリソース不足です。社内の人材が不足しているため、クラウド移行のプロジェクトを進められないという企業は少なくありません。特に情報システム部門の人手が足りず、現状のシステムの運用だけで精いっぱいになっているケースが多いようです。「現状に問題を感じながらも、リソース不足で改善できず、老朽化したシステムをずるずると使い続けている」という方も多いのではないでしょうか。

東京商工会議所が2020年に実施した『IT活用実態調査』 新規ウィンドウで開くでは、多くの企業が「IT導入の旗振り役が務まる人材がいない」という理由で、「ITの活用を積極的に進められていない」という調査結果が公表されています。
クラウド化を進めていくためには、何らかの方法で人手不足の問題を対処しなければなりません。

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なお、導入事例については以下のページで紹介していますので、詳しく知りたい方はご参照ください。

AWS導入事例|導入事例一覧ページ

まとめ

今後は中小企業の間でもクラウド利用がさらに進んでいくものと思われます。課題を抱えたシステムを運用している中小企業ほど、クラウドを導入したことによって得られるメリットは大きいものです。人手不足や社内のリソース不足で、クラウド導入をお悩みの方は、ぜひ当社までご相談 新規ウィンドウで開くください。

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