最終更新日:2022.11.08

AWS運用代行サービスとは? 具体的なサービス内容やメリットを解説

近年、経済産業省主導のもと大企業を中心にDXが推進され、それに伴いクラウド移行を検討する企業も増えています。クラウドの中でも圧倒的なシェアを誇るのがAWS(Amazon Web Service)ですが、オンプレミスからの移行は簡単ではなく、移行後の運用も含めて専門的な知識が求められます。

そこで、今回の記事ではAWS運用代行サービスについて解説し、AWSの運用を外部に依頼するという選択肢を紹介していきます。

AWS運用代行サービスとは

まず、運用代行サービスの概要や存在意義について解説していきます。

AWS運用の難しさ

ひとえに運用・保守といっても、やらなければならない対応は多岐にわたります。AWS上でシステムを運用するにあたっては、サーバーの監視や定期的なOS・アプリケーションのアップデートなど、専門的な知識を持った人材が必要です。社内のリソースを割いて対応するのが難しいケースも少なくないでしょう。そこで役に立つのが、AWSの運用を外部に依頼できる運用代行サービスです。

運用代行サービスの内容

では、運用代行サービスは具体的にどのようなことを代行してくれるのでしょうか。ここからは、TOKAIコミュニケーションズのAWS運用管理サービス 新規ウィンドウで開くを例に挙げて一般的な運用代行サービスのサービス内容を解説していきます。

① 運用・保守

まず挙げられるのが、基本的な運用・保守の業務です。具体的には、インスタンスの停止、起動の管理や、システムのアップデート、パッチ対応、障害発生時の対応などが含まれます。

② システム監視

続いてはシステム監視です。AWSはインフラの管理について保証しているものの、クラウド内のソフトウェアやネットワーク設定などの責任は利用者が負うことになっています。そのため、ソフトウェアやプログラム起因のパフォーマンス低下などを防ぐためには、利用者側が監視を行わなければなりません。このような考え方を「AWS責任共有モデル」と呼びます。AWS責任共有モデルについて詳しく知りたい方は、あわせて以下の記事をご参照ください。

AWS活用法 | AWSに必要なセキュリティ対策とは? AWSの責任共有モデルの解説

TOKAIコミュニケーションズの「AWS運用管理サービス」は、システムの稼働状況やパフォーマンス状況などを24時間365日体制で監視します。また、単にシステムを監視するだけではなく、インシデントを定期的に報告し、システムの課題発見・改善策の提案などを行っているのもポイントです。

③ 請求代行

3点目に挙げられるのが、請求代行サービスです。これは、契約を結んだ代行会社が、利用者に代わって申請を行うというものです。請求代行サービスを利用すれば、円建ての請求書払いが可能になります。このようなサービスをAWSリセールサービスと呼びます。詳しくは、以下の記事を参照してください。

AWS活用法 | AWSリセールサービスの仕組みと特長について

AWS運用代行サービスを利用するメリット

続いて、AWS運用代行サービスを利用するメリットを解説します。

社内のリソースをAWS運用・保守に割かずにすむ

先ほども述べた通り、システムの運用にあたっては、AWSに関連するシステムの知識が必要不可欠です。しかし自社ですべてを賄おうとすると、派遣調達に時間がかかるなど、手間とコストがかかります。AWSの運用保守を外部に一任できれば、そのぶん自社のサービス改善など、他の業務に社内のリソースを回すことができます。

手厚いサポート体制を受けられる

続いて挙げられるメリットは、多くの運用代行サービスが24時間365日体制で、システムを監視しているという点です。ビジネスにクリティカルな影響を与えるシステムでは必須の条件ですが、自社の人員だけでこの体制を組むのは、コスト面でも容易ではありません。運用代行サービスなら、障害が発生した際にもすぐに対応してくれる体制が整っているため、安心して運用できます。

日本円建てでの請求書払いができる

運用代行サービスの中には、請求代行のサービスを提供している会社も少なくありません。通常AWSの料金の支払い方法は、日本円建てで支払い可能なクレジットカード決済か、USドル建ての請求書払いのいずれかになります。その点、請求代行サービスを利用すれば、日本企業の商習慣として一般的な支払方法である円建ての請求書払いができます。これも代行サービスを利用する大きなメリットの一つといえるでしょう。

AWS運用代行サービスを利用する際の注意点

AWS運用代行サービスは便利な一方、注意すべき点もいくつかあります。ここからはサービス利用時の注意点を紹介していきます。

カスタマイズ性の低下

多くの場合、AWS運用代行サービスを提供している会社がrootアカウントの所有者となるため、AWSの一部の機能を利用できなくなることがあります。運用代行サービスを利用する際は、具体的にどの機能が利用できなくなるのか確認し、業務に支障が出ないかをチェックしておくようにしましょう。

AWSに精通した人材を育成しづらくなる

社内にAWSの専門知識を持つ人材を抱える必要がなくなる反面、人材の育成が難しくなるのも事実です。これはトレードオフの問題で、内製化をすれば知識を社内に蓄えることはできる一方で、そのぶん大きなコストがかかってしまいます。特にAWSの環境の規模が大きい場合は顕著で、運用代行サービスに任せたほうが、トータルでコストを抑えられることも少なくありません。内製化するのか外部に任せるのかは、自社の状況に基づいてコストを見積もり、判断することが重要です。

なお、すべてのサービスで上記のリスクが当てはまるわけではなく、代行会社によってできること・できないことは変わってきます。選定の段階で細かく相談しておくことをおすすめします。

AWS運用代行サービスの活用事例

ここまで運用代行サービスについて解説してきました。ここからは、具体的な活用法をイメージしていただくため、TOKAIコミュニケーションズの「AWS運用管理サービス」を利用して業務改善を実現した事例を紹介します。

東建コーポレーション様

AWSに移行する前、東建コーポレーション様はオンプレミス環境で賃貸物件検索のWebサイトを稼働させており、以下の2点を問題視していました。

① 度重なる仕様変更でシステムが複雑化し、メンテナンスに膨大なコストがかかる

この問題に対しては、まず24時間365日体制でリソース状況を監視し、障害の発生状況や稼働状況を調べて改善案を模索しました。そのうえで、「CodePipeline」や「CodeDeploy」を利用してWebサーバーの自動デプロイを実現し、リリース作業にかかる工数などの大幅な削減を実現しています。これらの施策を実施した結果、メンテナンスがしやすくなっただけではなく、手動の作業が減ったことで人的ミスも減少し、業務効率が大幅に向上しました。

② Webサイトの表示速度が遅い

Webサイトの応答速度の問題については、AWSマネージドサービスを活用することで改善しました。「Lambda@edge」によるURL振り分けを実装してEC2への負荷を低減させたほか、「Elastic Load Barancing」によって高負荷時に負荷分散を可能にして、アクセスが集中した場合でも応答できる仕組みを実現しています。その結果、これまで最大で数十秒かかっていた読み込み時間が、サイト全体で1秒以内にまで短縮されました。

本事例で利用したリソースやアーキテクチャ図について詳しく知りたい方は、以下のページをご参照ください。

AWS導入事例 | 東建コーポレーション株式会社様(建設業)

中日新聞社様

中日新聞社様は、「中日文化センター」という学習拠点の会員情報管理システムを、オンプレミス環境で稼働させており、以下の点を問題視していました。

① サーバーの冗長化ができていない

サーバーの冗長化ができていないため、サーバーを設置している建物の定期停電時やネットワーク機器の更新をするたびに、サーバーを止める必要があったのです。
そこで、データベース用のサーバーの保守サポートが切れるタイミングでAWSへの移行を決断し、マルチAZ構成を採用することで冗長化を実現しました。また、TOKAIコミュニケーションズが独自に開発した監視・自動化ツール「EMA」を活用して自動監視体制を構築し、障害発生時にはアラートを自動で送信する仕組みを作りました。これらの施策の結果、システムの可用性向上に加えて、定期的にシステムを停止させる必要がなくなり、管理コストの大幅削減も実現しています。

本事例のアーキテクチャ図などについて詳しく知りたい方は、以下のページをご参照ください。

AWS導入事例 | 株式会社中日新聞社様(情報通信業/新聞業)

まとめ

AWS運用代行サービスをうまく活用すれば、社内のリソースをほかの業務に回せるうえ、万全のサポート体制を整えることもできます。社内のリソースが不足している場合は、運用代行サービスの利用を検討することをおすすめします。

なお、本記事でも紹介した通り、TOKAIコミュニケーションズでは、「AWS運用管理サービス」を提供しています。24時間365日の運用管理はもちろんのこと、状況に応じた最適化の提案も行っており、多くの実績があります。興味がある方はお気軽にご相談 新規ウィンドウで開くください。

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