現代において、ビジネスで扱うデータは多様化するとともに膨大な量に増加し、今やデータベースは企業にとって欠かせない存在となっています。だからこそ、データベースの構築には細心の注意を払う必要があります。近年では、用途に応じてさまざまなデータベースや関連するサービスが提供されているため、選定は慎重に行わなければなりません。そこで今回は、データベース構築の基本的な流れを説明するとともに、データベース構築を外注する際に注意すべきポイントを解説していきます。
目次
データベース構築とは
そもそもデータベースとは?
データベースとは、一言でいえば、目的に応じて整理された情報の集合体のことです。単なる情報の集まりではなく、必要に応じて適切な情報を取り出せるよう整理されている情報のことを指します。なお、データベースというと電子データでしか存在しないと思いがちですが、辞書や電話帳などもデータベースの一種といえます。
データベース構築の目的
企業がデータベースを構築する目的のほとんどが、業務の効率化です。データベースを構築すれば、検索をかけるだけで必要な情報を簡単に取り出せるため、調べるのにかかる時間を大幅に短縮できます。人力では調べられないほどの膨大な情報を扱う場合は特にデータベースの利用が重宝します。また、データベースを電子データとして管理すれば、複数人が同時に情報へアクセスできるようになるため、さらなる業務の効率化が見込めます。
ファイルシステムとの違い
データを管理するという観点では、「ファイルシステム」もデータベースと似た役割を持っています。 ファイルシステムは、OSの機能のひとつで、データを「ファイル」の単位で保存できるほか、暗号化や圧縮機能などを有しています。また、OSの機能であることから、特別な設定をしなくてもすぐに使えるという特長があります。
一方データベースは、データの管理に特化しており、データを保管できるだけでなく以下のような特長を有しています。
- 検索性が高い
- 複数人で同時にアクセスできる
- データ同士を紐づけられる
データベースとファイルシステムは対立するシステムではありません。どちらかを選ぶのではなく、両者をうまく活用することで、業務効率のさらなる改善が期待できます。
データベースの種類
一口にデータベースといっても、データの記録方法などによって種類はさまざまです。ここからは、データベースの種類について解説していきます。
RDB(リレーショナルデータベース)
「RDB(リレーショナルデータベース)」は、行と列からなる表の形式でデータを記録するデータベースです。RDBには、国際的に広く使用されているデータベース言語である「SQL」を用いてデータベースを操作するという特徴があります。RDBは、データの加工がしやすい反面、データが大量になると処理に時間がかかりやすい、という性質を持っています。
リレーショナル型のデータベースを構築するサービスとしては、OracleやAmazon RDSなどが有名です。Amazon RDS(Relational Data Service)はAWS上で利用できるサービスで、データベースのインストールやセットアップを必要とせず、すぐに使用できます。また、利用できるデータベースエンジンは6種類用意されており、用途に合ったものを選んで利用できます。また、フルマネージドサービスであるため、ハードウェアの保守やバージョンアップなどの対応が不要なうえ、柔軟にスケールできるといった特長を持っています。
Amazon RDSについては、以下の記事で詳しく説明しています。あわせてご参照ください。
NoSQL
NoSQLは、「Not Only SQL」の略称で、RDBの課題を解消するために開発された新しいデータベースの仕組みです。広義では、RDB以外のデータベースをNoSQLと呼ぶこともあります。名前の通り、データベースを操作する際にSQLを使わないものもあり、データの保持の仕方もさまざまです。RDBで問題とされていた大容量データの処理を得意としており、RDBよりも処理速度が速いという特長があります。
NoSQLデータベースを構築するサービスとしては、Amazon DynamoDBなどが有名です。Amazon DynamoDBは、NoSQLの中でも、キーバリュー型とドキュメント型のデータモデルに対応したサービスで、応答速度の速さと大容量のデータの保存などに長けています。また、Amazon DynamoDBもAmazon RDSと同様、フルマネージドサービスです。
データベース構築の基本的な流れ
続いて、データベース構築の大まかな流れを説明します。
要件定義
要件定義フェーズは、何をデータベースに登録し、データベースで何を実現するのかを決めるフェーズです。まず、現在の業務を洗い出し、業務のどの範囲をデータベース化するのかを検討します。データベースに登録する情報が明確になったら、どのようなテーブルを作成し、それぞれのテーブルでどのような情報を持たせるのかを決めます。また、テーブル同士のつながりなども考える必要があります。実業務に基づいて要件を定義できていないと、データベースを構築しても想定していた効果が得られない可能性があるため、要件定義は特に慎重に進めなければなりません。
設計・開発
続いて、定義した内容の通りに実際にデータベースを構築するフェーズに入ります。このフェーズでは、テーブル作成やデータ登録などのほか、DBMSの設定も行います。「DBMS(Data Base Management Service)」とは、データベースを管理するソフトウェアのことで、データベースに接続できるユーザー情報の設定や、ユーザーごとの権限付与などの設定を行います。
テスト
設定が完了したら、テストを行います。検索のSQLなどを流し、意図した通りの結果が得られるのかをチェックしたり、データのインポート・エクスポートが正しくできるのかをチェックするフェーズです。単にデータベースが動作するのかをテストするだけではなく、実際に業務を回せるのかという観点でチェックするのも重要です。
運用開始・保守
テストで異常が見つからなければ、いよいよ運用開始です。データベース稼働後は、サーバー負荷や表領域の空き状況などを定期的に確認し、メンテナンスを行う必要があります。なお、稼働させる前に障害発生時の対応などについても、決めておかなければなりません。
外注先を選ぶ際のポイント
ここまで説明した通り、データベース構築には多くのリソースと専門的な知識が求められます。社内で調達するのが難しい場合は、データベース構築を外注するのもひとつの手段です。ここからは、外注先を選ぶ際のポイントについて解説していきます。
会社の実績と得意分野について調べる
まず、外注先がこれまでどのような会社に導入してきたのか、実績を調べることが重要です。データベース構築といっても、業種や規模などによって勝手が大きく変わってきます。これまでの導入実績を踏まえ、どのような分野が得意なのかを把握し、自社のデータベース構築に適しているのかを判断するようにしましょう。データベース構築を検討する際は、複数の会社に見積もりを依頼し、実際に担当者から話を聞いたうえで決めることをおすすめします。
サポート体制を確認する
会社のサポート体制についても、検討の段階で必ず確認するようにしましょう。具体的にどの作業まで自社で行い、外注先はどこまでを実施してくれるのかを事前に明確にしておかないと、後でトラブルになる可能性が高くなります。また、運用開始後の保守のサポートについても事前確認が必要です。障害が発生した際、復旧までどのような体制でどこまでサポートしてくれるのか、担当者に確認しておきましょう。
まとめ
データベースは、企業の基幹システムの根底を担う重要なものです。データベース構築や移行の際は、自社のニーズをもとに比較検討を行い、入念な計画をたてるようにしましょう。なお、本記事でも紹介した通り、AWSもデータベースのサービスを数多く提供しており、それぞれ特長が大きく異なります。用途に応じてサービスを選定するには、専門的な知識が必要です。TOKAIコミュニケーションズでは、「AWS導入サポート 」のサービスも提供していますので、AWSでのデータベース構築や既存のデータベース移行を検討されている方は、お気軽にご相談 ください。
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