最終更新日:2024.07.19

ファイルサーバーもクラウド化する時代?|クラウドファイルサーバーのメリットと選び方を解説

リモートワークを導入する会社が増え、近年さらに注目が集まっているクラウドサービスですが、ファイルサーバーにもクラウド化の波が来ています。クラウドファイルサーバーを正しく活用できれば、業務の効率化やコストカットにもつながります。そこで今回は、クラウドファイルサーバーの特性について解説するとともに、サービスの選ぶ際のポイントについて紹介していきます。

クラウドファイルサーバーとは

まず、クラウドファイルサーバーの基本的な知識や他の類似サービスとの違いについて解説していきます。

クラウドファイルサーバーとは?

クラウドファイルサーバーとは、文字通りクラウド上に構築されたファイルサーバーや、それを提供しているサービスのことを指します。通常のファイルサーバーと同様、基本的にファイルの管理・共有の目的で使用されるものです。特長としては、ファイルの保管・共有やアクセス権限の設定といったファイルサーバー本来の機能を持っているほか、社外からもセキュアにアクセスできるなどのクラウドならではの機能も有しています。

類似サービスとの違い

類似サービスとして主に挙げられるのが、以下の2つです。

ファイルサーバー(オンプレミス)/NAS

一般的にファイルサーバーと呼ばれるものは、オンプレミスのものを指します。オンプレミスのファイルサーバーとは、自社のコンピューターにWindows ServerなどのサーバーOSをインストールし、ファイルサーバーとしての役割を持たせたもので、社内LANなどのネットワーク上でのみ接続できます。オンプレミスであるため、OSの定期的なアップデートなど、サーバーのメンテナンスも自社で行う必要があります。

また、ファイルサーバーに似たものとして、NAS(Network Attached Storage)が挙げられます。NASは、前述のファイルサーバーに比べてファイルの保管・共有に特化したものです。厳密にはサーバーではなくあくまでストレージであるため、専用のソフトウェアなどのインストールは不要な一方、ファイルサーバーに比べてできることが少ないというデメリットがあります。

クラウドストレージサービス

同様に比較対象として挙げられるサービスとして、「box」などに代表されるクラウドストレージサービスが挙げられます。クラウドストレージサービスはいわゆるSaaSで、契約後すぐに利用できるという特徴があります。一方で、クラウドファイルサーバーのサービス形態はIaaSにあたります。そのため、自社でミドルウェアなどの構成を考え、システムを構築する必要がある分、カスタマイズ性が高くなっているのが特徴です。

クラウドファイルサーバーのメリット・デメリット

では、クラウドファイルサーバーにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、サービスの特性を踏まえたメリット・デメリットについて、類似サービスと比較しながら紹介していきます。

メリット

  • サーバー管理の負担がかからない
  • 導入コストを抑えられる
  • 従量課金制のサービスが多く、料金は利用した分だけに抑えられる
  • 冗長化や容量の拡張を簡単に行える
  • 社外への共有、社外からのアクセス設定が簡単にできる

クラウドファイルサーバーのメリットとしてまず注目すべきは、サーバー管理の負担がかからないという点です。サーバーの定期的なメンテナンスやネットワーク障害時の対応を、クラウドベンダーに一任できるため、オンプレミスのファイルサーバーと比べて社内でサーバー管理者の負担は小さくなります。

また、コストの面でのメリットも大きいと言えるでしょう。まず、自前でサーバーを用意する必要がないため、導入コストを抑えられます。そのうえ、従量課金制のサービスが多く、料金を利用した分だけに抑えられる点も大きなメリットと言えます。自社にサーバーを置いて運用する場合は、サーバー機器の購入代金のほかに光熱費などがかかりますが、クラウドファイルサーバーであればそれらのコストはかかりません。ただし、データのやり取りが多いと、かえってコストがかさんでしまう点には注意が必要です。

冗長化や容量の拡張が簡単に行えるのも、クラウドならではのメリットです。オンプレミスの場合、容量を拡張するには時間がかかるうえ、必要に応じてサーバーの追加も検討しなければなりません。クラウドファイルサーバーなら、Web上の操作で簡単に容量を追加できますので、オンプレミスの場合ほど容量の枯渇とそれに対応するための容量拡張にかかる運用負担を心配する必要もありません。また、地震などの自然災害への対応策も簡単に取ることができます。クラウドサービス事業者が所有する複数のデータセンターのサーバーを利用することで、片方のエリアで障害が発生しても、即座にシステムを切り替えることが可能なため、可用性を簡単に高めることができます。

その他のメリットとしては、社外への共有設定や社外からのアクセス設定を簡単に行える、といった点などが挙げられます。

デメリット

  • セキュリティに不安が残る
  • カスタマイズできない部分も
  • Webブラウザでの操作が慣れない人も
  • ユーザーによる設定が必要

クラウド共通の問題としてしばしば挙げられるのが、セキュリティに対する不安です。インターネットを通じてアクセスすることや、セキュリティ対策が事業者任せになってしまうことに対して不安を感じている方もいることでしょう。しかし、現在ではクラウドにおいてもセキュリティ機能の強化は進んでおり、クラウドだからという理由でセキュリティ対策が甘いということはありません。ただし、クラウドそのもののセキュリティについては事業者が責任を持ちますが、ユーザーが利用するクラウド内のリソースやその中に保存するデータに対するセキュリティの責任についてはユーザーにあります。そのため、ユーザー自身もセキュリティ設定をしっかりと行う必要があります。

また、クラウドファイルサーバーはIaaSのため、カスタマイズに限度がある点もデメリットになります。ただ、クラウドファイルサーバーを提供している多くのサービスでは、機能が豊富なものも多く、事前にしっかりと要件を確認して自社にあったサービスを選択できれば、基本的に困ることはないでしょう。

もう1点注意すべきなのが、操作性の問題です。クラウドファイルサーバーを提供しているサービスでは、操作をWebブラウザ上で行うものも少なくありません。一般的なファイルサーバーのようなエクスプローラ上での操作とは使い勝手が大きく変わるため、操作方法が分からず困惑してしまうこともあります。

ただし、すべてのサービスでWebブラウザ上での操作を強いられるというわけではありません。例えば、AWSのサービスの1つである「Amazon FSx for Windows File Server」であれば、エクスプローラ上で操作することが可能です。エクスプローラ上での操作に慣れている場合は、このようなサービスを選定するのが望ましいでしょう。

その他のデメリットとしては、仮想化されたハードウェアとソフトウェアの設定について、利用者で行う必要がある点などが挙げられます。

サービスを選ぶ際のポイント

クラウドファイルサーバーを提供しているクラウドベンダーは数多くあり、サービスもそれぞれ特性が大きく異なります。最後に、サービスを選ぶ際のポイントについて解説していきます。

ポイント1:利用規模で選ぶ

まず確認すべきは、利用する際の規模です。サービスによっては、発行するユーザーIDの数に応じて料金が変化するものもあります。何人程度で利用するのか、保管するデータはどのような種類のものか、といった利用規模や想定シーンに応じて適切なサービスも異なります。クラウドファイルサーバーの導入を検討している場合は、まず社内で要件をしっかりと固めるようにしましょう。

ポイント2:アクセス権限の設定で選ぶ

現状オンプレミスのファイルサーバーを利用している場合は、Active Directoryなどアクセス権限の設定内容についても確認しておきましょう。サービスによっては、現状利用している権限情報をそのまま同期できない可能性もあります。権限設定を一から設定し直すとなれば、それだけ時間と工数がかかってしまいます。現在利用しているアクセス権限の設定を把握したうえで、その設定を同期できるサービスを選ぶことをおすすめします。

ポイント3:セキュリティで選ぶ

3つ目のポイントは、セキュリティの観点です。SSO認証や2段階認証、IP制御などのアクセス制限をかけたい場合は、それが可能かという点から調べる必要があります。ほかにも、ログにはどこまで残るのか、データの暗号化やデータ送受信時のウイルスチェックなどは行われているか、冗長性・可用性に問題はないかなどの点も事前にチェックしておきましょう。なお、前述の通り、セキュリティの面に関しては、利用者側でできる対策は限られています。サービスを比較検討する際には、クラウドベンダーがどのようなセキュリティ対策を行っていて、どれほど信頼できるのか、必ず確認するようにしましょう。

まとめ

ここまで説明した通り、クラウドファイルサーバーを導入することで、業務効率の改善やコストカットにつながるケースも多くあります。ただし、導入に際しては、利用シーンや利用規模、業務フローなど、まず要件を定めることが極めて重要になります。クラウドファイルサーバーを提供しているサービスは数多くあり、特性はさまざまです。それぞれのサービスの特性を比較検討したうえで、自社に合ったサービスを選定しましょう。選定を間違えれば、かえってコストがかかってしまい、業務も効率化されないという事態にもなりかねません。分からないことや不安が少しでも残る場合は、専門家に相談することをおすすめします。

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