AWSのストレージサービスには、どのような種類があるのでしょうか。今回は、AWSのストレージサービスの中でも「データの格納」機能を提供するサービスについて、その特徴と導入メリットを紹介します。
目次
データの格納にAWSのストレージサービス
データの格納に使うAWSのストレージサービスは、アーキテクチャによってブロックストレージ、ファイルストレージ、オブジェクトストレージの3種類に分けられます。それぞれのストレージイメージと特徴を表にまとめました。
ブロックストレージ | ファイルストレージ | オブジェクトストレージ | |
---|---|---|---|
特徴 | ブロック単位、I/O速度が速い | フォルダ階層でファイルを保存 | オブジェクト単位で利用可能 |
用途 | プログラムを使った演算、業務処理 | ファイルの保存・共有 | 大規模データの管理、Webコンテンツの配置先 |
AWSのサービス |
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ブロックストレージ
ブロックストレージは、記憶領域を「ボリューム」という単位に分割し、ボリュームの内部をさらに一定サイズの「ブロック」という単位に分割して管理します。ボリュームおよびブロックには、それぞれアドレスが割り振られ、ユーザはこのアドレスを使ってアクセスします。ただし、ユーザ自身が直接アドレスを指定してデータにアクセスするケースはほとんどありません。大抵の場合は、ブロックストレージ上にファイルシステムを作成し、そのファイルシステム上でのディレクトリ名やファイル名を使用してデータにアクセスします。
ブロックストレージは、ご紹介する3種類の中でもI/O速度が速いため、更新する頻度が高いデータの入出力に適しています。AWSが提供するブロックストレージサービスは、Amazon Elastic Block Storeです。
ファイルストレージ
ファイルストレージは、「フォルダ」の階層構造でファイルデータを保管・管理できるタイプです。普段利用しているWindowsなどと同じ感覚で利用できますので、理解しやすく運用しやすいといえます。用途としては、「職場での作業ファイルの保存先」や、「必要なときにパソコンと接続する」などがあります。
AWSには3種類のファイルストレージがあります。
1. Amazon FSx for Windows File Server
Amazon FSx for Windows File Serverは、Windows Server上に構築されたフルマネージド型のファイルストレージです。エンドユーザファイルの復元や、ユーザクォータなどの豊富な管理機能があり、Linux および macOSなどオペレーティングシステムに関係なくアクセスできます。フルマネージド型のため、ファイルのバックアップやセットアップなどに気を遣う必要はなく、データ重複排除で冗長なデータを削除して容量を節約することにより、コストの最適化も可能です。
サービスの詳しい説明は、以下を参照ください。
AWS活用法 | Amazon FSx for Windows ファイルサーバーへの移行と活用方法
2. Amazon Elastic File System
Amazon Elastic File Systemは、クラウドネイティブなフルマネージド型のNFS(ネットワークファイルシステム)です。アプリケーションを中断することなく自由にスケーリングでき、ユーザ側の容量管理は不要です。標準ストレージクラスと低頻度アクセスストレージクラスがあり、費用対効果に優れています。
3. Amazon FSx for Lustre
Amazon FSx for Lustreは、高速で高効率なコンピュータ処理向けに、費用対効果に優れたハイパフォーマンスで拡張可能なストレージを提供するフルマネージドサービスです。機械学習、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、ビデオレンダリング、金融シミュレーションなど、高性能な共有ストレージを必要とする多くのハイスペックなコンピュータ処理で適しています。
オブジェクトストレージ
オブジェクトストレージは、ブロックやフォルダといった制約はなく、データオブジェクトの単位で格納できるファイルストレージです。格納したオブジェクトデータはHTTP/HTTPSで管理され、オブジェクト単位でURLが付与されます。ユーザは、URLよりオブジェクトデータにアクセスします。
多様性が高く、データの移動が簡単な点がメリットです。一方で、HTTP/HTTPS通信が発生するため、他のストレージに比べると低速です。オブジェクトストレージは、その特徴から大規模なデータを管理する場合や、インターネットから利用するWebコンテンツ(静的なWebコンテンツや動画コンテンツの配置先)の格納先に適しています。AWSの提供するオブジェクトストレージサービスはAmazon Simple Storage Service (S3)のみです。
AWSのストレージサービスを利用するメリット
AWSのストレージサービスを利用するメリットは、以下の3点です。
容量の拡張が容易
AWSのストレージサービスは、容量の拡張が容易です。スケーラブルに容量の拡張が行えるだけではなく、CPUやメモリの増設なども簡単な操作で行えます。
ファイル共有が可能
AWSのストレージサービスは、管理者がアクセスコントロールすることで、必要なユーザに必要な権限を与えてファイルを共有できます。インターネットを介した社内外のファイル共有も簡単に実現できます。
環境構築や運用のコスト削減
AWSのストレージサービスの料金は、基本的にはストレージ使用量、データへのアクセスや転送、一部の管理機能で費用が発生しますが、環境構築自体に費用はかかりません。自社でストレージを管理するときに必要なバックアップなどのデータ管理や環境の運用コストも不要なので、自社に必要なアクセス権限の設定やストレージ容量の増設などを行うだけで利用開始できます。
Amazon FSx導入なら当社へご相談を
ここまでご紹介してきたストレージサービスの中でも、特に「Amazon FSx for Windows File Server」は職場や社外とのファイル共有に利用しやすいサービスです。
「Microsoft Active Directory」や「AWS Managed Microsoft AD」とも連携できるため、これらのサービスで自社のユーザを管理している場合は、この「Amazon FSx for Windows File Server」も利用しやすいでしょう。
ただ、AWSのファイルストレージサービスを導入するには、環境の構築・データの移行・運用などに難しい部分もあり、自社だけでは大変な作業になることもあります。特にデータの移行については、現行環境のデータとの整合性の考慮や環境切り替えのタイミングなど課題も多く、そのため移行にかかる時間をあらかじめ算出し、綿密に計画を立てる必要があります。
当社では「Amazon FSx導入サポート 」をご用意し、データ移行支援や構築・バックアップ設定・AD構築などを支援しています。「Amazon FSx for Windows File Server」の導入を検討される場合は、ぜひお気軽に当社へご相談 ください。
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