AWSでは、これまで数多くのサービスがリリースされ、そして今もなお毎日のように新しいサービスが追加されています。その中でもAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)は、AWSの歴史の中でも古くから存在し、そして最も利用されているサービスのひとつと言って間違いないでしょう。
今回は、このAmazon EC2について詳しく解説していきます。
目次
Amazon EC2とは
Amazon EC2とは、AWS上で動作する仮想的なコンピュータを提供するサービスです。AWSの環境内に仮想サーバを構築することができ、AWSではこの仮想サーバのことを「インスタンス」と呼んでいます。
インスタンスはさまざまなOSに対応したものが用意されており、LinuxやWindowsはもちろん、2020年12月からmacOSにも対応したインスタンスが提供されるようになりました。
このインスタンス上では、従来の物理サーバや仮想サーバと同様に各種OSやアプリケーションを動作させることができます。
Amazon EC2のメリット
Amazon EC2インスタンスは、AWSマネジメントコンソール上から容易に作成でき、利用を終えたら削除すれば、かかる料金は利用していた間のみという手軽さが大きなメリットと言えるでしょう。更にインスタンスのスペックも非常に豊富であり、料金体系も利用用途に応じたプランが用意されており、柔軟性に非常に優れています。
- 豊富なスペック
- 利用した分だけ課金されるのでコストを抑えることができる
- 利用用途に応じた料金体系
次章から詳しく見ていきましょう。
Amazon EC2のスペック
Amazon EC2インスタンスは非常に多くのスペック(インスタンスタイプ)が用意されており、さままなタイプのCPU、メモリ、ストレージ、ネットワークキャパシティの組み合わせの中から用途に合わせて選択することができます。
インスタンスタイプは大きく分けて次の5つに大別されます。
- 汎用インスタンス
- ウェブサーバやコードリポジトリなど、インスタンスのリソースを同じ割合で利用するアプリケーションに適しています。
- コンピューティング最適化インスタンス
- 高パフォーマンスなCPU処理を必要とするアプリケーションに向いています。
- メモリ最適化インスタンス
- 多くのメモリを必要とするアプリケーションに向いています。
- 高速コンピューティングインスタンス
- ハードウェアアクセラレータ(コアプロセッサ)を使用して浮動小数点計算、グラフィックス処理などを行いたい場合に向いています。
- ストレージ最適化インスタンス
- ストレージとの高速な処理を行いたい場合に向いています。
それぞれのインスタンスタイプの中でもさらに細分化されており、その種類は合計で300を超えます。ここでは、一例としてウェブサーバとしての利用に適している汎用インスタンスの一部を紹介します。
汎用インスタンスは、動作するCPUなどにより12のタイプに分けられます。その中の一つであるT3インスタンスを例に挙げますと、更に下記表のように7種類のスペックが用意されています。
インスタンス | vCPU | CPUクレジット/時間 | メモリ(GiB) | ストレージ | ネットワークパフォーマンス(Gbps) |
---|---|---|---|---|---|
t3.nano | 2 | 6 | 0.5 | EBSのみ | 最大5 |
t3.micro | 2 | 12 | 1 | EBSのみ | 最大5 |
t3.small | 2 | 24 | 2 | EBSのみ | 最大5 |
t3.midium | 2 | 24 | 4 | EBSのみ | 最大5 |
t3.large | 2 | 36 | 8 | EBSのみ | 最大5 |
t3.xlarge | 4 | 96 | 16 | EBSのみ | 最大5 |
t3.2xlarge | 8 | 192 | 32 | EBSのみ | 最大5 |
各インスタンスタイプのスペックの詳細は、インスタンスタイプ - Amazon EC2 | AWS を参照ください。
Amazon EC2の料金
Amazon EC2には無料枠が存在します。これは、1年間毎月750時間分のLinuxおよびWindowsのt2.microインスタンスが使用できるものになっています。
料金の基本的な考え方は、使った分だけ課金される従量課金制ですが、支払い方法は下記の5つに分けられ、用途に応じて選択することができます。
オンデマンド
使った分だけ料金が発生する、最も基本的な料金体系です。長期の契約や前払いは必要なく、短期間の利用や初めてのAmazon EC2の利用などに最適です。
スポットインスタンス
オンデマンド料金に比べ、最大90%の割引料金で利用できるのが最大の特徴です。ただし、このプランではAWSの余剰リソースを使ってインスタンスを動かすため、状況によってはインスタンスが起動できない、または停止させられる場合があります。また、料金は余剰リソースの状況によって変動するのも特徴です。
短時間の稼働のみを必要とするインスタンスの利用に向いています。
Saving Plans
1年、または3年の期間で特定の使用量を契約する代わりに、オンデマンド料金に比べて低価格を実現できる料金モデルです。
長期間稼働を維持するインスタンスの利用に向いています。
リザーブドインスタンス
この料金モデルもSaving Plansと同様、一定期間の利用を契約する代わりに、オンデマンド料金と比べて低価格で利用できるプランですが、Saving Plansと異なる点は、リザーブドインスタンスではあらかじめインスタンスタイプを指定する必要があることです。そのため、指定していないタイプのインスタンスにはこの料金プランは適用されません。
長期間稼働を維持し、なおかつ途中でスペックの変更を予定していないインスタンスの利用に向いています。
Dedicated Hosts
AWS上の専有ホストを使用してインスタンスを起動することができます。これは、CPUソケット数やコア数に紐づいたライセンスをインスタンス内で利用したいときに役立ちます。ただし、インスタンスの起動状態や有無にかかわらず、専有ホストを使用している間は料金が発生します。
Amazon EC2を使ったクラウドシステムの構築ならTOKAIコミュニケーションズにお任せください
以上で、Amazon EC2のことを少しはお分かりいただけたかと思います。柔軟な料金体系と豊富なスペックで仮想サーバを立てられるのは非常に魅力的です。しかし、Amazon EC2インスタンスだけではシステムとしては成り立ちません。実際にはインスタンスを構築するための土台作りやネットワーク設定、そしてインスタンスを立てた後の運用も不可欠になってきます。用途に応じた最適な料金プランの選定も必要です。
社内運用に不安がある場合は、AWSの知識が豊富な業者に導入計画~運用まで任せることも、ひとつの手段です。TOKAIコミュニケーションズでは、AWS導入サポートサービス を提供しております。多数のAWS環境構築の実績に基づくノウハウで、お客様をサポートいたします。
もしご興味がございましたら、是非お気軽にお問い合わせ ください。
関連サービス
おすすめ記事
-
2020.06.23
Amazon Connectで在宅勤務でも対応できる問合せ窓口を立ち上げてみた
-
2020.08.17
Datadogで実現するモニタリングとオペレーションのオートメーション化
-
2020.04.27
Amazon FSx for Windows ファイルサーバーへの移行と活用方法
-
2020.06.11
Amazon WorkSpacesとは?その特長をまとめてみた
-
2020.06.23
AWSのDevOpsサービスと当社マネージドサービスを活用したDevOpsの実装①~概念編~