クラウド導入を推進したいが、どこから着手すれば良いかわからない、というケースは少なくありません。そのような場合に役立つのが、AWS クラウド導入フレームワーク「AWS Cloud Adoption Framework(以下、AWS CAF)」です。本記事では、「AWS CAF」の概要を紹介します。
目次
AWSクラウド導入フレームワーク「AWS CAF」とは?
AWSクラウド導入フレームワーク「AWS CAF」は、企業や組織がクラウドサービスを導入するために、効率的かつ効果的な計画を立てるサポートをします。また、クラウドを導入する段階を4つのフェーズに分け、各フェーズで何をするべきか定義しています。
1. 構想フェーズ
構想フェーズでは、クラウドを導入するビジネス上の目標と、測定可能な価値基準(結果)を定めて、クラウド戦略の基盤を構築します。「なぜクラウドを導入するのか」という目標を達成するため、どのような対策を立てるべきか、この構想フェーズで決定します。
2. 調整フェーズ
調整フェーズは、クラウド導入が組織にとって有効であることを各ステークホルダーに伝達。立場ごとの役割を示し、クラウド導入に向けて組織内の調整を行います。
3. 起動フェーズ
起動フェーズでは、クラウド導入に必要な開発や導入作業、ステークホルダーへの対応など、クラウドを導入するための実務的な作業を推進します。
4. 価値実現フェーズ
価値実現フェーズでは、構想フェーズで定めた目標に対して、結果がどこまで達成できているかを計測し、理想と現実にギャップがあれば問題点の分析・改善を行います。改善策の実施と計測・分析を繰り返すことで、目標に掲げたクラウド利用による価値を実現していきます。
「AWS CAF」で定義される6つのパースペクティブ
「AWS CAF」では、クラウド導入で重要な6つの分野を、パースペクティブ(観点)としてまとめています。パースペクティブに対応するステークホルダーと、求められる機能は以下の通りです。
パースペクティブの種類 | ステークホルダー | 機能 |
---|---|---|
ビジネス | ビジネスマネージャー ファイナンスマネージャーなど |
|
人員 | 人事部門など |
|
ガバナンス | CIO、プロジェクトマネージャーなど |
|
プラットフォーム | CTO、ソリューションアーキテクトなど |
|
セキュリティ | CISO、IT セキュリティマネージャーなど |
|
オペレーション | IT 運用管理者など |
|
クラウド導入に必要なこれらの機能が、各ステークホルダーで実行できるかどうかのフィットアンドギャップを行い、ギャップのある部分をアクションプランとして決めていきます。
自社でクラウドを導入する場合に足りない部分を、ひとつひとつパースペクティブ別にアクションプランとして落とし込むことで、有用なアクションプランの全体像が作成できます。以下は、アクションプランの例です。
- ビジネスのアクションプラン例
-
- クラウド導入の目的を明確にする
- 目的の数値化を行う
- クラウド導入による新たなビジネスリスクについて学ぶ
- 人員のアクションプラン例
-
- どの程度のスキルレベルを有した人材が、何人必要か調べる
- 自社リソースでクラウドスキルのある人材のスキルレベルと、人数を把握する
- 採用計画に上記の調査結果を反映し、必要なスキルを持つ人材を採用する
- ガバナンスのアクションプラン例
-
- クラウド移行による、ライセンス管理・ソフトウェア管理・インフラ管理の変化を調査する
- ビジネスのアクションプランで算出した、目標の数値を計測する方法を調査する
- プラットフォームのアクションプラン例
-
- 同業他社のクラウド導入事例を学ぶ
- 自社に向いているプラットフォームの選定について、専門業者に相談して決める
- セキュリティ
-
- 自社のセキュリティ要求基準を、クラウドでどう満たすかを調査する
- 現状策定しているインシデント発生時の運用ルールと対応マニュアルについて、クラウド導入後どう変更するべきかを調査検討・修正する
- オペレーション
-
- クラウド導入後、パフォーマンスの監視について、どのように実現するか調べる
- クラウドサービスの稼働状況モニタリングを、どのように実現するか調べる
- BCP対策について、クラウド導入後どのように変化するか調査する
アクションプラン策定時は、プランごとにスケジューリングも行います。あるアクションプランが、別のアクションプランを前提としている場合もあるため、整理しながらの計画が必要です。
クラウド移行のメリットも理解しよう
ここまで、クラウド導入の考え方について説明してきました。
今一度、クラウド移行のメリットを理解し、円滑にアクションプランを策定しましょう。
AWS活用法 | クラウドへ移行するメリットとは?オンプレミスとクラウドの違いから説明します!
アクションプラン策定が難しい場合は専門家に相談を
「AWS CAF」を利用したクラウド導入のアクションプラン策定は、ビジネス面・技術面の両方において深い知識が必要となります。「自社ではアクションプランの策定が難しい」と感じる場合は、専門家に相談すると良いでしょう。
TOKAIコミュニケーションズでは、お客様のクラウド導入に必要な、アクションプラン策定をお手伝いするAWS導入サポートを提供しています。 クラウド導入を検討されている場合は、ぜひ当社まで気軽にご相談ください。
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